リー・カンション
小康(シャオカン)
台湾の首都、台北を舞台に、一人の予備校生と周囲の人間関係を通して、現代の台湾社会を独特の抑制された形式で描いた青春群像劇。楊昌徳、候考賢などを輩出し、現代映画を代表する国の一つとなった台湾映画界の新人、蔡明亮の監督第一作。製作は「恋人たちの食卓」ほかアン・リー作品でも知られる徐立功、撮影は「バナナ・パラダイス」の廖本榕で、蔡明亮の次作「愛情萬歳」も担当。音楽はCM音楽で注目された黄舒駿で、本作が映画デビュー。編集は王其洋、美術は「バナナ・パラダイス」の李寶琳、録音は胡定一、衣装は陳穎慧がそれぞれ担当。主役の李康生は、ゲーム・センターで偶然監督と出会い、彼のテレビ作品に出演したのに次いで、映画初出演。共演は「ファイブ・ガールズ・アンド・ア・ロープ」などに出演した元ファッション・モデルの王渝文ほか。92年中時晩報電影奨最優秀作品賞、93年東京国際映画祭ヤングシネマ部門ブロンズ賞、トリノ映画祭最優秀新人監督賞などを受賞。2024年7月20日より『台湾巨匠傑作選2024』にて劇場上映(配給:オリオフィルムズ)。
夜の台北。公衆電話から硬貨を盗んでいるアツー(陳昭榮)とアピン(任長彬)。一方、予備校生シャオカン(李康生)は予備校の学費の払い戻しを申し立てるが断られる。エレベーターですれ違ったアツーと、彼の兄と昨晩寝ていたアクイ(王渝文)は、バイクに乗って出て行く。シャオカンの母親は占いで、自分の息子・シャオカンが 伝説の英雄“ナジャ”の生まれ変わりなのだ、と父親に告げ、反発を買う。ナジャの真似をするシャオカン。父親はシャオカンをしかり、母親はおびえる。その夜、アクイとアツー、アピンは遊びに出かける。三人はラブホテルへ入るが、そこでアクイは酔って眠ってしまい、アツーとアピンは彼女を置いて出て行く。次の夜、アツーとアピンはゲーム・センターの配線盤を盗む。それを見ていたシャオカンはゲーム・センターに閉じ込められ、一夜をそこで過ごす羽目に。その次の晩、アツーとアクイは再びラブホテルへ。シャオカンは授業料を払い戻すことに成功し、その前のホテルに部屋を取って、アツーのバイクを壊す。シャオカンの父親は翌日、授業料が払い戻されたことを知って、母親と言い争う。アツーとアピンは盗んだ配線盤をゲームセンターに売ろうとするが、自分たちの犯行がばれ、抵抗の末、アピンは重症を負う。そこへシャオカンの父親の車が通り、二人を運んで行く。アツーに呼ばれたアクイは泣き始め、ここを出て行こうと言う。テレクラに行くシャオカン。だが、何もしないまま出ていき、夜の台北にさまよい出て行くのだった。
監督、脚本
製作
撮影
音楽
美術
編集
衣装デザイン
録音
字幕
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