階段通りの人々
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階段通りの人々

1995年2月18日公開、96分
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85歳を越える世界の現役映画監督で最高齢でありながら、90年代に入ってからも年一本のペースで旺盛な創作活動を続けるポルトガル映画界の巨匠マノエル・デ・オリヴェイラ監督が描く群像劇。作家のプリスタ・モンテイロが、演劇の演出家でもあるオリヴェイラによる初演を期待して書いた戯曲『A Caixa』を、むしろ映画の素材だと判断した監督が脚色して映画化。81年の『フランシスカ』(テレビ放映、特別上映のみ)からオリヴェイラ作品に携わる製作のパウロ・ブランコ以下、撮影のマリオ・バロッソ、美術・衣装のイザベル・ブランコ、編集のヴァレリー・ロワズルーら、「アブラハム渓谷」に続いて参加したスタッフを中心に、録音でブランコ製作の「白い町で」や「パリ、テキサス」以後ほとんどのヴィム・ヴェンダース作品を手掛ける名手ジャン=ポール・ミュジェルが参加。出演は85年の『繻子の靴』(日本未公開)以来、オリヴェイラ作品の顔となっているルイス=ミゲル・シントラをはじめ、ベアトリス・バダルダ、ソフィア・アルヴェスら前作「アブラハム渓谷」でおなじみの顔ぶれぞろい。

ストーリー

階段通りの町、リスボン。夜明けの薄明の中、夜警が家路に着くと、12番街では老女(グリシニア・クァルティン)が起き出し、路上で立ったまま放尿する。朝のラッシュアワー、階段通りを通勤客の洪水が通り過ぎるが、それもやがて一段落。階段通りの貧民街の人々の最近の関心事は、通りの中ほどに住む盲目の老人(ルイス=ミゲル・シントラ)が、「恵みの箱」をどこからか授かり、通行人からお恵みの金を集めて少々羽振りが良くなった事だ。老人の娘(ベアトリス・バタルダ)は洗濯女で、娘婿(フィリペ・コショフェル)は遊び人。階段通りの人々の老人に対する羨望は強い。老人の箱は誰かに盗まれていたが、新しい箱が都合され老人は家の前に座った。居酒屋の前の路上では豆売り女(イザベル・ルス)が店開きし、居酒屋には3人組みのチンピラや松葉杖の老人、流れ者の音楽教授(ドゥアルテ・コスタ)ら常連客が顔を揃える。娘婿の遊び人仲間(ディオゴ・ドリア)が老人の家にやって来たが話題はやはり例の箱のこと。真っ赤なドレスの娼婦(ソフィア・アルヴェス)が老人に優しい声をかけ、箱に金を落とす。チンピラ3人組が老人の箱を回し投げしてからかうが、娘婿がナイフで脅してやめさせた。いったん静まった階段通りにギターの調べが流れ、老人は居眠りし、その様子を靴磨きの少年と仲間が見ている。居酒屋の主人(ルイ・デ・カルヴァリョ)が、自分にとってこの店は教会のようなものだというのに応えて、教授はギターで『アベ・マリア』を奏でる。素人画家が画架をセットしはじめた頃、突然悲鳴が。またしても老人の箱が盗まれたのだ。町の人々やアメリカ人観光客、ニセの盲人ら集まった人々を前に、娘婿はチンピラたちが盗んだと息巻く。ケンカの末に、娘婿はナイフでチンピラの一人を刺殺してしまう。やがて彼は逮捕され、娘は父に、明日は施設に連れていくと残酷に宣言。だが、その一瞬後、老人はナイフで胸を突いて自殺した。夜が訪れ、〈時の踊り〉が階段通りを幻想に染める。冬が来て、階段通りに黒いヴェールに身を包んだあの娘の姿があった。自分の不幸な身の上を書いた石板を見せてお恵みをもらい、人々に分け与える娘を見て人々は、彼女こそ聖女だと思う。階段通りに『アベ・マリア』の調べが流れる。

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作品データ

原題
A Caixa
製作年
1994年
製作国
ポルトガル フランス
配給
フランス映画社
初公開日
1995年2月18日
上映時間
96分
製作会社
マドラゴア・フィルムズ=ジェミニ・フィルムズ(ポルトガル)=ラ・セプト・シネマ(仏)(製作協力*IPACA=RTP=カナル・プリュス=CNC)


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