エルンスト・フーゴ・イエアゴー
Stig Helmer
“王国”と呼ばれるコペンハーゲンの巨大病院を舞台に、病院にひそむ過去にまつわる亡霊と、ソープオペラ風に錯綜した人間模様が怪しく織りなすブラック・コメディ調のミステリー・ドラマ。本来、デンマークのテレビ映画として製作・放映されたが、本国で視聴率50%を稼ぐ大好評を得たため、英・仏・独・米・日本でも、再編集されたヴァージョンで劇場公開された。監督は「エレメント・オブ・クライム」「ヨーロッパ」とその独特の幻想的な作風でカルト的人気を誇るラルス・フォン・トリアーと、モーテン・アーンフレーズの共同。製作はオーレ・ライム、エグゼクティヴ・プロデューサーはスヴェン・エイブラハムセンとピーター・アールバック・ジェンセン。脚本はトリアーとニルス・ヴェーセルの原案をもとにトリアーとトーマス・ギスラソンが執筆。撮影はエリック・クレス、音楽はヨアヒム・ホルベック、編集はヤコブ・トゥーセン、モリー・マーリーン・ステンスガード、美術はイェッテ・レーマンがそれぞれ担当。出演は「ヨーロッパ」のエルンスト・フーゴ・イエアゴー、「愛の風景」のギタ・ノービィほか北欧映画界のベテランが顔をそろえる。また、トリアーの親友でもある「処女の生血」「JM」などのカルト俳優、ウド・キアが特別出演。
〈第一章〉デンマークの首都、コペンハーゲン。かつて洗濯池であった土地にそびえ立つは巨大病院キングダム。スウェーデンから左遷されてきたと噂の医師スティグ・ヘルマー(エルンスト・フーゴ・イエアゴー)は傲顔不遜な初老の男でいつも不機嫌、若く血気盛んな医師クロウスホイとは特に仲が悪い。その日の朝は入院マニアの老女、ドルッセ夫人(キルステン・ロルフェス)に対する処置をめぐって衝突した。院長メースゴー博士は優柔不断、怒れるクロウスホイの味方は女医のユディット(ブリジッテ・ラアブイェルグ)だけだ。さて、実は降霊術も趣味のドルッセ夫人はエレヴェーターで謎の少女の声を聞く。彼女は病院の雑役夫の息子の助けを借りて霊の正体を捜し求める。院長の息子モッゲ(ペーター・マイジンド)はガンの標本を集めている病理学者ボンド(バアド・オーヴェ)の講義を受けてはいるが、頭はセクシーな看護婦カミーラで一杯。彼女にすげなくふられると、腹いせに死体置き場から切り取ってきた首を調達。しかし彼女を脅す目的をはたせず、その首をロッカーに隠して置くがそれはいつの間にか消えていた。一方、ドルッセ夫人は友人モルゲンセン夫人の臨終に立会い、件の少女の霊の情報を得る。病院では、麻酔アレルギーの患者に対し催眠術による手術がおこなわれる。患者は昏睡時に少女の霊と会う。ユディットはクロウスホイの地下室の隠し部屋に招待される。実は便利屋の彼は、病院の不要品交換役もしており、例のモッゲの生首もそこにあった。その頃、ドルッセ夫人はようやく少女の霊に迫っていた。エレヴェーターシャフトの上から見下ろす彼女の名前はマリー。病院創設者オーエ・クルーガー博士(ウド・キア)と関係があるらしい。病院をめぐる怪奇現象の謎を説く鍵はどうやらここにあるようだ。 〈第二章〉ドルッセ夫人は古い救急車を目撃する。車のガラスを叩くのはあの少女の血に濡れた手だ。彼女は少女マリーの死亡報告書を探しに行く。そこで彼女が診たのはホルマリンづけになったマリーの姿だった。ドルッセ夫人は彼女を密かに葬ってやるが、マリーはまだこの世に未練があるらしい。マリーはクルーガー博士が愛人に生ませた娘で、虐待のあげく無残にも毒殺されたのだった。ユディットにクロスホイは恋を打ち明けられるが、彼女は別の男の子供を妊娠中だった。クロスホイはユディットが一瞬幽霊のように消えていく姿を見て、めまいを覚える。彼はユディットを守ろうと、中絶を提案する。ユディットの子供は異常に成長が早かったのだ。ユディットはマリーの幽霊に出会う。マリーはその子供を産んではいけないと警告して消える。ドルッセ夫人は病院をさまようマリーをあの世へ送り届けてやろうと、悪魔払いを始める。一方、ヘルマーは愛人を置いて、人間をゾンビにするという薬がハイチにあることを知って、ハイチに飛んだ。そんな折り、<すがすがしい朝の治療>という、この病院が推進している運動を厚生大臣が視察に来る。平身低頭で案内役をつとめた院長だったが、彼らがそこで見たのは悪魔払い中のドルッセ夫人や、勤務時間中、例の看護婦カミーラと寝ているモッゲであった。ユディットは中絶の手術台に向かうが、突如異変が。彼女の窒を押し破らんばかりに顔を出したのは、何とあのクルーガー博士だったのだ……。
Stig Helmer
Mrs. Drusse
Rigmor
Krogen
Dr. Moesgaard
Mary
Bulder
Poter Hansen
Bondo
Camilla
Judith
Sanne
Mogge
Christian
Mona
Aage Kruger
監督、脚本、原案
監督
脚本
原案
製作
製作総指揮
製作総指揮
撮影
音楽
美術
編集
編集
字幕
[c]キネマ旬報社