三國連太郎
松波麟作
日中戦争をはさんで、数十年にわたる日本と中国の二人の棋士の人生を描く。脚本は「野獣刑事」の神波史男、大野靖子、安倍徹郎の日本側と、李洪洲、葛康同の共同執筆、監督は「遥かなる走路」の佐藤純彌と段吉順の共同、撮影は「コールガール」の安藤庄平がそれぞれ担当。
日本の名棋士、松波麟作と中国の江南の棋王と謳われた况易山は、一九二四年、北京で運命的な出会いをした。その二人の対局は官憲により中断させられたが、江南の麒麟児といわれる况の息子、阿明は、その天分を伸ばすために、日本の松波のもとに預けられることになった。才能を発揮していく阿明は、松波のひとり娘、巴といつしか愛しあうようになる。しかし、日中戦争の激化のなかで、二人の恋愛関係は複雑な波紋を周囲に投げかけた。天聖位の獲得を契機に、阿明は祖国に帰って銃をとる決意をし、妻の巴を伴って、密行による国外脱出を企てる。しかし、出航を目前に、夜の埠頭で阿明は射殺され、巴は憲兵に逮捕される。戦後、すべての家族を失った况は、息子、阿明の消息を求めて焼跡の東京を訪ねた。だが、彼は阿明が、こともあろうに、松波の謀略で国外脱出の際、憲兵に射殺されたと知らされる。さらに况は、阿明の妻、巴の発狂した姿を見せられ、松波も戦死したと聞かされる。やり場のない怒りと絶望のなかで况は、中国に帰った。だが、実は松波は生きていた。しかし、すでに碁は捨てて酒びたりの自堕落の生活をしている。一九五六年、日中間の民間交流が芽ばえる中で、况のもとに松波の訪中が伝えられた。“松波が生きていた”すべてを忘れようとしてきた况にとって、それは複雑な動揺をもたらした。今や廃墟となった旧况家で、松波と况は再会するや、松波は誰にも言えなかった阿明の射殺の真相を告白した。ただ慟哭するばかりの况。しかし、阿明と巴の遺児、華林は明るく育っていた。その孫娘に促されるように、松波と况は、阿明と巴の遺骨を美しい大湖に沈めた。そしていつしか二人は、虚空の盤の上に、三十年前の打ちかけの碁を打ちはじめるのだった。
松波麟作
况易山
恩田忍
况巴
况華林
恩田雄二
况婉怡
况阿明(少年時代)
况阿明
况阿恵(少女時代)
况阿恵
関小舟
森川
立花医師
張医師
森川よね
篠原八段
橋本隆吉
尾崎大佐
遅紫東
ホウ栄欽
張医院の書生
警察署長
黒田参謀
情報局・滝井
日本領事
小阿恵
監督
監督
脚本
脚本
脚本
脚本
脚本
製作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
プロデューサー
プロデューサー
スチール
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