親王塚貴子
お雪
金貸しの旦那にかこわれる不感症の女が、愛する男に出会い性の悦びに目覚めるまでを描く、脚本・監督は宇寿木純、撮影は東誠一がそれぞれ担当。
ある料亭の下働きをしていたお雪は、高利貸しの駒造の目にとまり、囲われることになった。女将のおしずは、生娘のお雪にお床入りの作法を教えようと花弁を愛撫するが、彼女は打ち震えるだけだ。駒造とお雪の初夜の日、駒造はこんな白い肌に黒いものは似つかわしくないと、お雪の茂みを剃毛してしまう。それから半年が過ぎたが、お雪は不感症のままで、駒造は快感を目覚めさせてやろうと躍起になっていた。ある陽射しの強い日、日傘をさしたお雪は神社にお詣りに行き、そこで北村という売れない物書きの青年と出会う。実は、北村はいつも神社にお詣りに来るお雪を見ており、彼女に思いを寄せていた。駒造は色ごとは楽しいことだとお雪に教えようと、屋形舟に乗せると、彼女の眼の前で、駒造は芸者の美代吉を責めたてるのだった。二人の喘ぎ声に、お雪は耳をふさいで打ち震えていた。数日後、お雪は神社に行くと、そこにいた北村に包みを渡す。それは原稿用紙の束で、北村の感激の表情を尻目に、お雪はその場を立ち去る。家に帰ったお雪は、二階に上がると、女中のおたまと駒造が素ッ裸で絡み合っており、目の前で繰り広げられている痴態を見るに耐えかねて、彼女はそこを逃げ出した。神社に戻ったお雪は、北村の胸に飛び込んだ。その夜、二人は北村の下宿で体を重ねると、お雪は駒造には見せたことのない歓喜の表情で燃え上る。ある日、駒造はいつものようにお雪を訪ねると、そこには北村の上に騎乗位で交わるお雪の姿があり、驚愕する駒造。お雪は駒造に気づきながらも、突き上げてくる快感に喜びの声をあげ、初めて知る性の深淵に喘ぎ続けるのだった。
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