麻生かおり
梶原里美
自宅に愛人を連れ込む夫に対し、外にもう一人の夫をつくり二重結婚生活をする人妻を描く。脚本は「宇能鴻一郎の桃さぐり」の加藤正人、監督は「花と蛇」の西村昭五郎、撮影は「花と蛇 飼育篇」の野田悌男がそれぞれ担当。
梶原里美は大学教授昇進間近の啓吾を夫に持つ24歳の人妻。啓吾は週に三回は京都の大学で講義を行なっており、里美は夫のいない日の寂しさをまぎらわすため、派手な衣装で外出するのが習慣になっていた。その日も、里美は表参道にあるギャラリーに入っていくと、まだ売れていない浦上亮という20歳の画家が、モデルになってほしいと声をかけてきた。里美は、結局あなたは私とやりたいんでしょうといい、相手にしない。数日後、啓吾は道子という愛人を家に連れ込み、里美の前で体を重ねた。里美はギャラリーで亮の往所を聞き出すと、彼のアパートを訪ね、あなた私をモデルにしたいんでしょうと、一糸まとわぬ全裸になり、大きく足を開く。亮はまったく動けない。啓吾と道子の関係は続き、里美は再び亮の部屋を訪れ、若い肉体に溺れた。真剣な亮は里美に結娘を申し込んだ。笑って相手にしない里美。そんなある日、道子が参加していた旅行ツアーのバスが湖に転落したというニュースが入った。里美は道子の健康保険証や印鑑を持ち出すと、週に三日だけ妻になるという条件で亮と結婚してしまう。里美は道子の名を使って二人の夫を持つ女となった。しかし、里美の心は啓吾から亮に移っていた。その頃、道子から連絡がないのを不思議に思った啓吾は彼女のアパートを訪ねるが、そこは荷造りを終えた無人の部屋だった。そのとき、啓吾は心臓発作に襲われ、息絶えてしまう。喪服姿の里美は、亮の部屋に行くと、激しく体を求めた。二人が重なり合っているとき、テレビでは奇跡の生還をした道子のニュースを伝えていた。そしてドアのノックの音が聞こえ、亮が出ると、刑事が立っており、病院にいる奥さんを引き取りにきてほしいと言う。
梶原里美
佐藤道子
梶原啓吾
浦上亮
ナンパしている男
テレビのアナウンサー
テレビのアナウンサー
警官
刑事
不動産屋の主人
[c]キネマ旬報社