十朱幸代
岡崎露子
ひとりの男を挟んでの姉妹ふたりの愛憎を中心に、三人を囲む人々の葛藤を描く。宮尾登美子原作の短篇小説「夜汽車」「岩伍覚え書」をもとに「道(1986)」の松田寛夫と「F2グランプリ」の長田紀生が脚本を共同執筆。監督は「最後の博徒」の山下耕作、撮影は「火宅の人」の木村大作がそれぞれ担当。
昭和10年の秋、高知行きの夜汽車に揺られながら、岡崎露子は少女の頃を回想していた。彼女が13歳の時、母親は妹の里子を産んで死に、やくざな父親は露子を高知一の料亭“山海楼”に売りとばし、その金を酒と博奕に使い果たしたあげく野垂れ死にしていった。露子は泣く泣く里子を人手に渡し、その養育費を稼ぐために芸妓として各地を転々。16年ぶりに故郷に帰って来たのだ。そして、17歳の女学生に成長した里子と再会した。山海楼に腰を落ち着けた露子は、田村征彦という男と知り合い愛し合うようになる。征彦は高知のやくざ一家、田村組の息子だが、途方もない夢を抱いて父親の律三郎とは別の世界で生きていた。そんな時、里子が喀血をした。結核と診断された里子の入院費用として千二百円の金が必要となった。征彦は金策の途上、百鬼一家の刺客に狙われ、逆にその刺客を斬ったため高知刑務所へ縛がれる。百鬼一家は田村と高知を二分するやくざで、田村と敵対していた。里子をサナトリウムに入院させた露子は、再び借金を背負う身となって各地を転々、三年の歳月が過ぎた。その間、退院した里子は、出所した征彦に裏長屋を借りてもらったが、征彦と男女の仲になってしまう。高知に戻って来た露子は、里子を訪ねた裏長家でそのことを知り泣いて飛びだした。露子はやがて、南海銀行の新頭取・溝上の囲われ者となり、高級カフェを開く。征彦のもとに伊三郎の子分である浜田と捨吉が訪ねて来た。伊三郎が高知で飛行機観覧大興行に打って出るので力を貸してくれというのだ。そんな時、伊三郎は百鬼一家の用心棒、梵天の信次に斬られて死んでしまう。田村組を継いだ征彦は、露子のカフェを訪れ、溝上の力を借りたいと土下座した。暫くして、征彦を思い切れなかった霧子は、二人が初めて結ばれた宿に征彦を呼び出す。溝上の資金力と後循を得て、征彦はアクロバット飛行の大興行を成功させたが、ねたんだ百鬼一家に興行初日の夜、飛行機を爆破させられてしまう。その上、露子と征彦の仲を知った溝上は、征彦に出入り禁止を言い渡した。事のすべてを知った里子は、芸妓娼妓紹介業の勢津を訪ねて二千円で身売りする。高知から遠い娼楼を望んだが、目をつけた百鬼に力ずくで抱かれ、その時大量の喀血をした。征彦は梵天の信次に斬られて重傷を負い、病院にかつぎこまれた。里子を取戻そうと百鬼一家に乗り込んだ露子は、百鬼、彼の情婦お辰、花勇の前で小指をつめる。里子は人力車の中で、露子に抱かれて息をひきとった。天涯孤独となった露子は、満州の新京に渡った。征彦は、百鬼を射殺しようと待ちぶせして、逆に命を落とし、露子のもとに征彦が死んだという電報が届いた。昭和20年、露子は敗戦と共に、ソ連国境の町、牡丹江で消息を断った。
岡崎露子
岡崎里子
むら咲の蔦江
花勇
お辰
牡丹
政代
撃剣の浜田
竜王山
小龍
捨吉
ジャガラの敬
筆の山
少女期の露子
霧子の父
吉村
坂本
永野
神田
山本勢津
鮫島
権藤
佐藤病院院長
梵天の信次
百鬼勇之助
田村伊三郎
溝上昇
田村征彦
監督
脚本
脚本
原作
撮影
音楽
美術
美術
編集
照明
録音
助監督
企画
企画
音楽演奏
スチール
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