寺尾聰
モミイチ
記憶を失った青年とジプシーたちの心の交流を描いたメルヘン。庄野英二原作の同名小説の映画化で、監督は脚本も執筆した「風立ちぬ(1976)」の若杉光夫、撮影は「新・喜びも悲しみも幾歳月」の岡崎宏三がそれぞれ担当。
高原の牧場で働く青年モミイチは、戦争のなかで受けたショックとマラリアの熱で記憶を失っている。だが、1兵隊のときの愛馬ツキスミのことだけは忘れられず、今もその麻の音が時折耳に聞こえてきた。ある日、麻の音を追いかけて山奥深く入り込んだモミイチは、初めて踏み込んた美しい花畑でクラリネットを吹く男に出逢う。彼のテントで一夜を明かし、聞いたのは森の中で暮らす不思議なジプシーたちのことであった。各々が得意の仕事を持ち自由な生活をおくりながら、時々一緒になって音楽を演奏して楽しむという。ツキスミのことを心配してくれるジプシーたちに心惹かれたモミイチは感激し、牧場に戻ってきても彼らのことばかり考えていた。美しい音色を奏でる鈴をたくさん作った彼は、再び山奥深く入り込みジプシーたちを捜し求める。そして、オカイコを踊らせるバイオリン弾きの美少女、ビオラを奏でるそり兄をはじめ、たくさんのジプシーたちと出逢い素晴らしい歓待を受けた。彼らの「次の満月の夜、森の奥で開かれるジプシーたちの・バザールで再会しよう、それまでにツキスミのことを尋ねておこう」という言葉を胸に、モミイチは牧場に戻った。だが、彼を心配した牧場主夫婦、許嫁のゆきはこれ以上自由にしておけぬと監視する。満月の夜、牧場を抜け出せぬモミイチは泣くのだった。夏も過ぎ去ろうという頃、再び山に出かけた彼は歩き回るが、かつての場所にジプシーたちの姿は見えなかった。捜し疲れて眠り、眼を覚ますと流れ星の降る中をツキスミが駆けめぐっている。夜空ではジプシーたちのオーケストラがシンフォニーを響かせている。歓喜にあふれたモミイチはツキスミの背に乗って、夜空で待ち受けるジプシーたちの許へと昇っていくのだった。
モミイチ
ゆき
オカイコのバイオリン
蜂飼のクラリネット
ジャム作りのフリュート
角作工のファゴット
大工のオーボエ
オカイコの兄のビオラ
ティンパニーの女房
村の医者
オカイコとビオラの父・コントラバス
牧場主の妻
牧場主
監督、脚本、製作、企画
原作
製作、企画
製作、企画
撮影監督
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
プロデューサー
プロデューサー
スチール
製作協力
製作協力
製作協力
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