富田靖子
鈴女
片田舎で育った性格ブスの女の子が東京での生活で人にもまれ、自分のカラを破り自立していく姿を描く。脚本は内館牧子が執筆、監督はCMディレクターでこれが劇場用映画第一回作品となる市川準、撮影は「ドン松五郎の生活」の小林達比古がそれぞれ担当。
18歳になる森下麦子は片田舎で生まれ育ち、性格のひねくれた暗い女の子だった。そんな“心のブス”を治すため上京し、置屋を営む叔母・胡蝶のところで鈴女という名前をもらい芸者見習いをしながら高校に通うことになった。しかし、ここでも鈴女はなかなか皆に溶け込むことができない。やがてボクシング部のヒーロー・津田邦彦に思いを寄せるが、彼には京子という校内でも評判のきれいな彼女がいた。あるとき、置屋の老人・辰巳がそんな鈴女を見かねて八百屋お七の墓へ連れて行った。そして、これまで憎んでしかいなかった母・雪乃の過去を初めて聞かされた。彼女の中で何かが少し変わり始めていた。鈴女は学校で同級生の女の子が京子たちから陰湿なからかいを受けているのに腹を立て、喧嘩をしてしまう。それを止めに入った邦彦を今度はネクラ派の男の子が誤って傘で突き、腕に傷を負わせてしまった。その頃、鈴女を可愛がってくれた売れっ子芸者の揚羽が駆け落ちした。ショックは大きかったが、もう逃げるのはやめようと決めた鈴女は、半ば押しつけられた秋の文化祭での役割を引き受け、「お七」を踊ることにした。胡蝶の厳しい特訓が始まった。しかし、一人では仕掛けが難しいのでネクラ派の友人二人に手伝ってもらうことにした。文化祭当日、可憐に「お七」を踊る鈴女だが、最後のところでハシゴが壊れ、床に落ちてしまう。思わぬ大失態に舞台の下で座り込む鈴女。ステージでは次のプログラムであるアイドル・グループのピンク・ジャガーが登場し、華やかにショーが始まった。すぐさま邦彦が駆け寄り、鈴女の手を取ってグラウンドへ連れ出した。そしてファイヤー・ストームに火をつける。炎の中に浮かぶ鈴女の踊る姿。生まれて初めての解放感に彼女の表情は明るかった。
鈴女
胡蝶
揚羽
津田邦彦
京子
北崎
怜子
ぽん太
春千代
菜の花
トレーナー
客
客
雪乃
監督
脚本
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
企画
企画
プロデューサー
プロデューサー
プロデューサー
主題歌
スチール
製作協力
[c]キネマ旬報社