かとうみゆき
柊逢維子
都市開発のため経営不振に陥ったキャバレーを舞台に、経営の父親の苦悩と娘の自立を描く。脚本はじんのひろあきが執筆。監督は「1999年の夏休み」の金子修介、撮影は同作の高間賢治がそれぞれ担当。
“ローズ”は個人経営のキャバレーで、経営者の柊信太郎は高校生になる娘の逢維子と二人暮らしだった。しかし、最近は景気が悪く、また都市再開発の波に押されて近々店は明け渡すことになっていた。だが、今日の“ローズ”は超満員。信太郎は年に一回、ある大学テニス部の新歓コンパに店を開放していたのだ。幹事は上級生の土橋龍矢で、店内では最近入ったホステスの未也子が男子学生にフィンガー・サービスを行っていた。翌日、逢維子は今度引っ越す予定のマンションを訪ねた。いよいよ父と別れ、一人暮らしが始まるのだ。淋しくもあるが、父は一人になりたいようだった。しかし、近頃“ローズ”は活気を取り戻しつつあった。未也子の過激なサービスと女子大生のアルバイトが増えたためである。逢維子がマンションに引っ越した日、龍矢が訪ねてきた。二人は最近つき合い始めたのだ。信太郎は“ローズ”の最終日に“さよならパーティ”を企画していた。そして、かつて“ローズ”で働いてくれたホステスも招待するつもりだった。中でも特別長く働いてくれたホステスには挨拶を兼て、直接訪ねることにしていた。逢維子と篭矢も手伝うことにし、最初に世田谷の高級住宅街に住む椎名真理子を訪ねた。彼女は父・信太郎が大変モテていたことを教えてくれた。逢維子は父親が今つき合っている相手を知りたかったのだが、それについてはよくわからなかった。次に訪ねた令子も同じような態度だった。最後のホステスを訪ねようとしたところ父が待っていた。その晩は親子二人で久しぶりに話し込んだ。“さよならパーティ”は元ホステスの他、大学生に一般招待客まで混じって盛況だった。しかし、パーティが佳境に入ったころ信太郎は娘に別れを告げ、こっそりと店を出た。また、未也子は田舎の保母の見習いになるために帰っていった。逢維子が店長室で一人履歴書や葉書きを燃やしていたら、天井のスプリンクラーが作動し、店内には雨が降り注いだようになった。そこへ龍矢が入ってきて、二人はごく自然に抱き合った。逢維子と龍矢がフロアに戻ると、誰もいない店内には、まだ雨が降り続いていた。
柊逢維子
柊信太郎
土橋龍矢
森本未也子
秋月由紀
三宅郷美
小林孝一
加藤光男
青木令子
椎名真理子
田口五郎
前田伸二
景子
美穂
つかさ
律子
監督
脚本
撮影
撮影
美術
編集
照明
録音
助監督
企画
企画
プロデューサー
選曲
スチール
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