井上順
ムツゴロウ
動物をこの上なく愛し、動物と暮しながら何ものにも束縛されない人間になりたい、と願い行動した畑正憲の同名小説を映画化した青春喜劇。脚本は満友敬司と今関健一、監督は脚本も執筆している「恋は放課後」の広瀬襄、撮影は「塩狩峠」の竹村博がそれぞれ担当。
大畑正、通称ムツゴロウは大学の動物学科で、愛する動物たちを相手に日々を送っている。だが、九州にいる父の八造は、ムツを医者に育てたく、ムツが医学部へ通っているものと信じこんでいた。学生運動の闘士・根岸、終末論をぶつヒゲ、マージャン気運いの杉田、ムツと同じ下宿の悪友どもで、皆、見てくれは悪いが、陽気で、人間臭く、ムツにとって信頼できる仲間である。ムツには、九州に明子という恋人がいる。高校時代から愛し合っている仲で、ムツが東京に来てからは、毎日のように手紙のやりとりが続いている。ある日、ムツは急に明子に会いたくなり、九州に帰ろうと思った。ヒッチハイクもままならず、国道をトボトボと歩くムツを、ミツバチを追って九州へ向かう一行が、トラックに同乗させてくれた。美しい九州の山なみの中に、ムツと明子の楽しそうな姿が映えた。「無人島へでも行こうか」「ステキだわ」「その時は明子も一緒だぞ」一方、八造はムツを一人前の医者にするため、医者の娘と結婚させようとしていた。そして、ムツが東京に戻った後、八造は明子にムツとの交際をやめるように頼んだ。明子は、ムツが動物学料にいること、そして絶対に別れないことをきっぱりと言った。その日明子は倒れた。結核が悪化していたのである。飛んで帰って来たムツの顔を見て、明子の目から涙がこほれた。その夜、二人は結ばれた。就職シーズンである。根岸は銀行に、ヒゲは建設会社に行くことになった。しかし、下宿で就職祝いを行なった直後、根岸は職をけって、姿をくらませた。しばらくして、ムツは思いきって明子を東京に呼んだが、研究室に残ったムツには全く収入がなく、明子は、自分がムツの学問の妨げになると感じ、一人寂しく九州に帰った。自分の無力さに失意の日々を送っていたムツのところに、根岸がひょっこり現われた。彼は、ムツが以前世話になったハチ屋の娘と結婚し、ハチ屋として独立したのだ。根岸の帰った後、ムツ宛に一通の速達が届いた。明子と二人で問い合わせていた北海道の無人島の返事である。夢が実現したのだ。ムツは急いで九州に帰り、父の反対を押しきって、結婚式をあげた。北海道--遥か海上に小さな島か見える。小舟の中のムツと明子の表情は、悔いのない人生を生きている者のみが持つ自信にあふれていた。
ムツゴロウ
河村明子
根岸
ヒゲ
杉田
ムツの父八造
母光江
美知子
岡チン先生
下宿のおばさん
覗きの男
養豚場の主
養豚場主の妻
オデン屋のおやじ
養豚家
大久保
明子の母
監督、脚本
脚本
脚本
原作
製作
製作
撮影
音楽
美術
美術
編集
照明
録音
助監督
スチル
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