櫛の火
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櫛の火

1975年4月5日公開、88分
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恋人を病で失い深い喪失感に陥った青年が、年上の女と巡りあったことにより再び生への執着の炎が燃えあがる。原作は古井由吉の同名小説。脚本は大野靖子、監督は脚本も執筆している「宵待草」の神代辰巳、撮影も同作の姫田真佐久がそれぞれ担当。

ストーリー

広部が初めて矢沢柾子と会った時、彼女はホテルのロビィで、大学講師である夫、矢沢の友人、田部、松岡と話していた。広部が待っていた先輩と松岡が知り合いで、形式的に柾子を紹介された……。三年前、大学紛争も終りに近い頃、弥須子が激烈な常套句で広部の生き方をなじって離れていった。そして一年後に、広部は弥須子と再会した。その夜、二人は連れ込み宿で肌を寄せあった。翌朝、弥須子は広部と別れた後、急に腹痛を起こし入院した。病院に駆けつけた広部は、献身的な看護を続けたが、一週間後彼女は息をひきとった。彼女の櫛が形見として広部に渡された……。初めて柾子を紹介されてから十日ほどして、広部は柾子と電話で話した。征子は夫の矢沢と別居しており離婚の話がついている、と言い、二人は月に一度ほどの間隔で逢うようになり、どちらからともなく体を求めるようになった。一方、矢沢はあけみと同棲していた。しかし、あけみは多情な女で、矢沢はいつも嫉妬していた。ついにあけみに我慢ができなくなった矢沢が家に戻って来て、柾子とは一階と二階に別れて暮すことになった。柾子は離婚の立合人、田部に相談しに行くが、酔ったあげく彼に体を許した。数日後、柾子は矢沢に強引に迫られ、殺されそうな気がしたので、つい抱かれた、と言って広部のアパートに転がり込んだ。二人は一緒に暮すことにした。広部の机は翻訳をする柾子に占領され、抽出しに放り込んであった弥須子の形見の櫛も、今では柾子が自分の物のように使っていた。数日後、広部は矢沢に呼び出され、捺印した離婚届を渡された。その夜の明け方近く、柾子は、矢沢が家に帰って来たのはあけみを殺害したからだ、と広部に言った。その事を広部は信用しなかったが、柾子の勘は冴えていた……。

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作品データ

製作年
1975年
製作国
日本
配給
東宝
初公開日
1975年4月5日
上映時間
88分
製作会社
東京映画


[c]キネマ旬報社