芹明香
三浦ひろみ
ソープランドを渡り歩く一人の男と女を通して、ソープランドに生きる女たちの生態をドキュメンタリー・タッチで描く。脚本は猪又憲吾、監督は脚本も執筆している「女番長 玉突き遊び」の関本郁夫、撮影は中島徹が担当。
赤線が廃止されて17年の月日が流れ、世の男性のハケ口は今やソープランドに向けられている。不況の世の中にあってソープランドだけは、豪華にそして多彩になっていく。カメラはその男と女の密室といわれるソープランドへ入り込んでいく。尼僧スタイルの風俗嬢が恭しく客を迎える「尼僧ソープ」。ロビーいっぱいにジェット機の爆音が響き、中からスチュワーデス姿の風俗嬢が出てくる「スチュワーデス・ソープ」。詰襟の学生服の男子従業員、おさげ髪の風俗嬢の「女学校ソープ」。小児科、肛門科、性器吸入科等の看板を下げ、風俗嬢は看護婦スタイルの「病院ソープ」。一方、入浴料金はフルコースで一万五千~二万円。入浴法も“二輪車”“三輪車”“五輪車”と客一人に対して風俗嬢が複数になっていく。そして風俗嬢のほとんどが、稼いだ金を、自分の夢をかなえるために貯めこんでいるが、金欲しさに風俗嬢になった女性の大半は、結局、金に縛られて脱けることができなくなってしまうのだ。カメラは、75年、日本列島の北から南まで、あらゆるソープランドの種類とテクニックを追っていく。
[c]キネマ旬報社