早乙女愛
早乙女愛
少年マガジン連載の人気劇画の三度目の映画化で、今回が完結篇。悪の温床花園実業高校を舞台に、一匹狼の誠と、彼に心を寄せる愛のロマンス、ヤングマフィアの団長峻と誠の対決を描く。脚本は前二作の監督をした山根成之と長尾啓司・南部英夫の合作。監督はこの映画がデビュー作になる南部英夫。撮影は「忍術猿飛佐肋」の竹村博がそれぞれ担当。
東京新宿にある花園実業高校は、全国でもその名を知られた不良学校だった。この悪の温床を牛耳っていた陰の大番長、高原由紀が、一匹狼の太賀誠との戦いに敗れて死を選んでからは、学園にしばし平和が訪れたかのように見えた。(以上第二部)そんなある夜、太賀誠を愛している早乙女愛のところに、怪電話がかかった。電話の声は、「お前と太賀誠は、即刻転校しろ。無駄な血を流したくないなら」と言って切れた。それは、明らかに誠への挑戦状だった。愛から忠告された誠は、強敵の出現に、またしても闘志を燃やすのであった。電話の主は、二人の精神主義を軽蔑しているヤングマフィア“緋桜団”の団長を名のる砂土谷峻だった。翌朝、誠が登校すると、彼の教室は緋桜団に占拠されていた。緊迫した空気が一瞬流れたが、そこへ割って入ったのが、花園実業の理事長座王与平だった。彼は、政財界の黒幕といわれ、時の政権をも動かすことのできる大物だった。しかし、峻は座王の出現にもおじけず、彼の身体をムチで打ち飛ばした。それに座王は耐える。こんな場面を一同は驚きと恐怖で見つめた。座王は、実は峻の父親だったのである。彼が女中に手をつけた時にできた子が、峻であった。峻は幼少の頃、座王の苛酷な仕打ちに合って目を傷つけた。それ以来、家を飛び出して、父を憎んでいたのだ。この出会いは、そんな峻と、負い目を背負った父親との何年ぶりかの邂逅だった。誠の身を案じる愛の不安は、つのる一方だった。数日後、愛の不安が現実となった。緋桜団と誠が朝礼の時に対立したのである。多勢に無勢で危ない誠は、爆弾をふりかざした。誠の捨て身の戦いに、さすがの峻も驚いた。峻は、誠が通うスナックの美しいハーフの娘アリスを監禁した。彼女を助けたければ、爆弾を捨てて勝負しろと、誠に迫るのだった。誠は、人質がアリスと知って安堵した。スナックに誠が通っていたのは、実は、そのスナックの向いのオデン屋で働く、アル中の母を、スナックのドア越しに見るためだったのである。10歳の時に、誠を捨てた母ではあったが、やはり誠には恋しい母だった。少女を人質に、誠と峻は向い合った。ムチを使う峻。それをかわす誠。勝負は、誠が蹴り上げたナイフが、俊の右手の親指を切断して、峻の負けとなった。この一件で、峻はこれまでの横暴な行動が警察にバレて、取り調べを受けることになった。そんな時、早乙女家に思わぬ事件が持ち上った。それは、早乙女家を没落させる大事件でもあった。早乙女財閥のトップの座にある愛の父将吾と、座王が、国有地不正払い下げ事件の渦中の人物となったのである。愛の両親は、こんなことから冷たくなって、母は家を出た。そして、窮地に立たされた座王は、腹を切って自殺するという思わぬ事態を迎えた。座王の死で、将吾は全真相を発表しようと決心した。しかしその時、将吾のところに、「お前の妻の身体は預かっている」という恐迫電話がかかってきた。国会での証人喚問の日。将吾は、全国民の前で何も言えなかった。そんな彼を、皆は批難した。その夜、愛の母親が黒幕の手先きにおくり返された。愛は、母親に痛烈な言葉を浴びせた。「苦境に立ったお父さんを駄目にしたのは、お母さんよ」。彼は、この言葉を聞いて、愛も大人になったことを知った。そして今まで遠ざけてきた愛への思いをつのらせるのだった。誠は、権力の手先である黒幕の正体がわかっていた。数日後、誠は愛の一家を不幸にした宿命のライバル峻との闘いに挑んだ。親に裏切られた不幸な若者同志の闘いだった。
早乙女愛
太賀誠
砂土谷峻
座王与平
早乙女将吾
早乙女美也子
太賀トヨ
アリス
座王権太
岩清水弘
花園実業校長秋山
国語教師青田
修理工場経営者岡島
湊川会大幹部梶本
湊川会会長鬼頭
オスカーのマスター
オデン屋の親爺
顧問弁護士
ヤキトリ屋の親爺
監督、脚本
脚本
脚本
原作
原作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
録音
助監督
製作主任
進行
企画
製作宣伝
スチール
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