やくざの墓場 くちなしの花
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やくざの墓場 くちなしの花

1976年10月30日公開、96分
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暴力抗争から政略戦争へ政策を転換する現代やくざ社会と、それを取り締る警察官僚機構の黒い癒着の狭間で、はみだしていく一匹狼の刑事の生きざまを描く。脚本は「バカ政ホラ政トッパ政」の笠原和夫、監督は「新仁義なき戦い 組長最後の日」の深作欣二、撮影は同じ「新仁義なき戦い 組長最後の日」の中島徹がそれぞれ担当。

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ストーリー

関西某警察本部の管轄内で最近、近県に本拠を置く巨大組織・山城組傘下の在阪団体が、資金源の拡張を計って大阪南部地区へ進出を企てていた。このため、ミナミを地盤とする西田組と衝突を起こし、両者の間は一触即発の状態が続いていた。折しも同地警察捜査四課に舞戻った腕利き刑事黒岩竜は、西田組の情報収集担当として復起したが、捜査本部の上層部は黒岩の性格と過去を案じて、意識的に捜査担当から外した。というのは、黒岩が二年前やくざの幹部を逮捕した時、早まって射殺事件を起こしたことと、四課十年のキャリアを利用して、個人プレーに走る傾向を恐れていたからだ。黒岩のやり口は最初から凄じかった。些細な事で西田組のチンピラ若本をパクリ、暴力で徹底的に責め立てた。余りの惨さにあわてた西田組二代目組長・杉政明と若者頭代理の松永啓子が、地元警察署長・赤間を伴って詫びを入れる程だった。この一件で、黒岩は規律を重んじる本部上層部の本部長、副本部長等に睨まれたばかりか、西田組顧問でキック・ボクシングジム拳義会館長・岩田五郎の怒りも買った。通称ダボ牛と呼ばれる岩田は、黒岩に会うなり、横っ面に猛烈な一撃を浴せて罵った。その威勢の良さに、黒岩自身も頼もしさを感じたぐらいだった。ある日、黒岩は山城組傘下の組員を追跡し、金融ブローカー「山光総業」の事務所内に逃げ込んだ男と格闘になった。そこの事務員の鬼頭等はすべて捜査四課のOBだった。そこへ現われたのは元捜査副本部長で、現在山光総業社長の寺光伝之助で、一万円札をチラつかせて事をウヤムヤに処理しようとした。黒岩は今だに本部の上層部に絶大な圧力を持つ寺光に、何かキナ臭さを感じてその場を去った。山城組対西田組の抗争は日増しに激化した。黒岩は、いつしか戦いに不利な西田組に荷担し、しかも若者頭の夫の留守を預かる啓子に何かと手を貸すようになった。警察本部は管轄外の山城組には手をつけず、一方的に西田組解散の方針を打ち出して、新たに西田組担当班室長に日高警部補が新任して来た。日高と黒岩は警察学校の同期生で、二年前の射殺も彼が仲の良い日高をかばったための発砲が原因だった。日高は新任早々上司として黒岩の身辺の整頓と、スタンド・プレーを慎しむように忠告した。追いつめられた西田組は、岩田の計らいで山陽、九州一帯を総轄する連合組織・雄心会に加盟して、山城組に対抗しようとした。その結縁式には啓子の招きで黒岩も出席した。席上、組長代行に就いた岩田と口論から、激突した二人は、大格闘の末に逆に親交を深めるようになり、やがて五分の兄弟盃を結ぶに至った。だがその事が、直ちに警察本部に筒抜けになり、黒岩は過去二、三の規律違反と合せて処分され、四課担当から外されたばかりか、自宅謹慎を命じられた。警察本部に「暴力団対立抗争事件特別対策本部」が設置されて取締りが強化された。これが黒岩と啓子、岩田の関係をより親密にした。山城組は組の財源を握る寺光から警察上層部への鼻薬が効いて難を逃れたが、西田組の杉が逮捕され、警察の思うがままに説き伏せられたため、西田組解散の標的は岩田一人に絞られた。一方、警察本部と「山光総業」の癒着を曝こうと、秘かに行動していた黒岩が、寺光の一味に捕えられて、惨いリンチを受けて岩田の穏れ家を吐かされた。岩田は逮捕され、寺光の仕掛けた罠にはめられて、留置場で事故死として処分された。「叔父貴さんを売ったのは、あんた?」挙銃を向けて真相を正そうとする啓子に、黒岩は突然獣のごとくのしかかり、犯しながらそれを肯定した。身の置き場のない黒岩は、啓子への愛と寺光や警察上層部への怒りを同時に燃えあがらせていった。

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作品データ

製作年
1976年
製作国
日本
配給
東映
初公開日
1976年10月30日
上映時間
96分
製作会社
東映京都映画


[c]キネマ旬報社