田島はるか
おみの
島守俊夫原作の『女地獄獄門帖』から、駈け込み寺を舞台に、そこにうごめく女達の狂気の性を赤裸々に描く。脚本は「徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑」の志村正浩、監督は「毒婦お伝と首斬り浅」の牧口雄二、撮影は「大奥浮世風呂」の塚越堅二がそれぞれ担当。
年期が明けて、田舎に戻れると喜こんでいた飯盛女郎のおみの。おみのは、女衒の弥多八と亀に土蔵の中へ連れ込まれ、別の宿場へ移るよう強制される。おみのは、いやがり、ちょっとの隙をみつけ、逃亡する。途中の地蔵堂の陰に隠れているのを町人姿をした代官所の隠密・伊三郎に助けられる。おみのは、現世の縁をたち切る為、噂に聞いたことのある山奥の駈け込み寺・愁月院を探す。途中、山道で出会った二人の男、留次と捨松に愁月院のことを聞こうとするが、逆に二人に犯されてしまう。男の欲情にもてあそばれながらも、おみのはやっとのことで、愁月院を探し出す。愁月院の庵主・桂秀尼は、おみのに自分の若い頃の着物を着せる。人心地がついたおみのを本堂に引き連れ、他の女たちに引き合わす。派手好みのおかじ、神経質そうなおつな、ぶよぶよに太った年増のおとくといった、一くせも二くせもありそうな女たちであった。もう一人、桂秀尼に寄りそっている少女・お小夜がいた。この一見、平和そうな寺が、実は悪魔の巣であることにおみのは気がつかなかった。翌日、山門がたたかれ、一組の男女が寺を訪ねて来た。しかし、男の方は、なぶり殺されてしまった。この寺は、男をくわえ込んでは、殺してしまう殺人尼寺であった。おみのを追ってやってきた留次と捨松も女たちのいけにえとなり殺されてしまう。そして、この寺には、もう一つの秘密があった。裏山でケシの花を裁培しているのだ。夜になると桂秀尼の部屋では、アヘンの香が漂った。また、おみのを追って来た弥多八と亀も女たちによって殺されてしまいあまりの狂気におみのは寺を焼く決心をする。やがて、本堂は焼け落ち、おみのも焼死した。その炎をみつめるお小夜の太股を一筋の血が流れた……。
おみの
おかじ
おつな
おとく
お小夜
野田伊三郎
沢吉
作造
くちなわの弥多八
亀
留吉
捨松
桂秀尼
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