永島敏行
桑田敦天
四人の男女の出会いから別れまでを描く。中上健次の小説集『十八歳、海へ』に収められている“隆男と美津子”の章の映画化で脚本は「青春の殺人者」の田村孟と渡辺千明の共同執筆、監督は「もっとしなやかにもっとしたたかに」の藤田敏八、撮影は「桃尻娘 ラブアタック」の安藤圧平がそれぞれ担当。
森本英介は、五年間も東京で浪人暮しをしており、郷里で病院を経営する父とは、裏口入学のことでモメて以来、音信がない。ある夜、鎌倉で、英介は暴走族のリーダーと喧嘩になり、海に潜って、先に顔を上げた方が敗けという勝負をした。翌日、英介は予備校で有島佳という女の子に声をかけられる。彼女は昨夜の一部始終を見ており、一緒にいた桑田敦夫と、英介の真似をして、心中と間違えられたという。いきなり話しかけられてとまどう英介は、ホテルのボーイをしながら予備校に通っていることを彼女に話す。佳は、この夏、釧路から夏期講習を受けるために上京し、姉・悠のところに居候していた。桑田は同じ予備校に通う二浪の男だ。ところで、佳は心中ごっこのとき、死と隣り合わせの瞬間に、このうえもない喜悦を感じたことで英介に興味を持ったのだ。そして、佳と桑田は英介のバイトするホテルで心中未遂を起こしてしまう。二人の収容されている病院に見舞いに行った英介は、そこで、佳の姉の悠と出会う。悠は小学校の給食をつくる仕事をしている。暫くして、悠は、ホテルの一件以来、自分のところから離れていた佳に、ロタ島行きのキップを渡してくれと英介に話す。それは、桑田から佳を離そうとする悠の心づかいだった。しかし、佳はキップを受け取ろうとせず、英介は悠と一緒にロタ島に行った。二人は旅を満喫する。旅から帰り、ホテルでバイトをしていた英介は、学会で上京していた父と出会った。父は学会の開かれる箱根のホテルで話し合おうと話すが、英介は憎しみしか覚えなかった。その頃、経済的に行きづまった佳と桑田が、英介に助けを求めてきた。英介は、二人を父の名で、箱根のホテルに泊まらせることにした。翌日、英介は箱根の警察から連絡を受けた。箱根のホテルにいた佳と桑田の死の知らせであった。心中ごっこが本当の心中になるとは……。鋭い衝撃が英介を襲った。夏の終り、鎌倉の海に英介と悠の姿があった。二人は佳と桑田の行為を語りながら、自分たちが、別々の道を歩みはじめたことを感じていた。そして今、英介は自分のとまどいの季節が終ったことを意識しながら……。
桑田敦天
有島佳
森本英介
有島悠
森本隆英
大八木一隆
暴走族のりーダー
榊原昴
大八木邸の女中
若いメイド
保安係A
保安係B
箱根のホテル・フロント
主任メイド
監督
脚本
脚本
原作
製作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
企画
スチール
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