監督
アフリカの苛烈な大自然の中で、象ファミリーの生活をドラマに構成したもので、総監修は「キタキツネ物語 THE_FOX_IN_THE_QUEST_OF_THE_NORTHERN_SUN」の蔵原惟繕、ナレーション台本も同作の三村順一、監督は「白き氷河の果てに」をプロデュースした蔵原惟二と日野成道の共同、撮影は間宮義雄、栃沢正夫、柴田定則がそれぞれ担当している。
ストーリー
象は一日のうち十八時間も食事に費す。象の社会は母系制だから、母親がいっさいをとりしきる。四頭の子供の母親であるケニアの場合、一〇〇リットルの水と一八〇キロの草は不可欠だ。なにしろ、十二歳の長男ムチャンガ、九歳の次男タンザ、長女サバン六歳、末っ子トトム三歳はいずれも食欲旺盛なのだ。乾期が訪れ、ケニアたちは長い旅の末、水場に達した。ムチャンガは思春期を迎え、成年式の儀式を行なうことになった。儀式を終え、家族を離れた彼は今日から雄象のグループに入る。珍らしい金環蝕の日、ケニアは男の子を産んだ。タムタムと名づけられたその赤ん坊は体重一〇〇キロ、身長は一メートルで、まだ目は見えず、鼻で母をさがす。生後三日目、タムタムは歩くことを覚えたが、栄養はすべて母乳に頼り、離乳まで三~四年かかる。一方ムチャンガは密猟者に負傷を受け、保護官に治療を受けるはめになった。人間に傷つけられ、人間に助けられる象の皮肉の宿命だ。タムタムが生まれて一週間目、ケニアの様子が急激に変った。乳の出なくなったケニアは先の長くないことを悟り、子供をつき放そうとする。そして一人だちして生きる技術を厳しく教えこまれる子供たち。そして、ケニアは死んだ。タムタムを生んで十一日目。最後の出産に全精力を注いだのだ。ケニアの姿を探し求めるタムタムの母代りになったのは、かつてわが子を死産でなくした母象だ。タムタムにとって何日ぶりの母乳だろうか。生まれてはじめての旅に出たタムタムは兄のムチャンガに再会し仲間たちの群れに加わった。またサバンナに乾期が訪れ、群れが移動を開始した。密猟者が襲いかかり、攻撃するムチャンガ。密猟者と自然の猛威を乗り込え、タムタムたちは旅を続ける。旅は象の宿命なのだから……。
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