ジェームズ・スチュアート
老人
アフリカの大自然の中に生きる老人と少女と、文明社会から迷い込んだ一人の青年が出会い、その地にとどまり、自然を守るために生きていくまでを描く。脚本は「くるみ割り人形」の辻信太郎、監督は「午前中の時間割り」の羽仁進と「巨象の大陸」のサイモン・トレバーの共同、撮影はマイケル・フォックスと松前次三がそれぞれ担当。
アフリカの大地。一人の少女が動物たちとたわむれていた。そこへ、一機のセスナが墜落、炎上する機体から一人の男が飛び出してきた。墜落のショックで記憶を失い荒野を彷徨う男。その姿を遊牧民の長老が見つめていた。やがて男は“森の家”と呼ばれる家にたどりついた。そこにはあの少女と不思議な白人の老人が住んでいる。老人は文明の闖入者を冷たく追い帰した。行き場のなくなった男は、川のほとりで気を失い、少女は彼を助け、介抱する。その様子を複雑な思いで見つめる老人。一方、今まで動物しか話し相手のなかった少女は、男の登場に口では言い表わせない胸のときめきを感じる。体力を回復した男は、ある日、森のはずれにある奇妙な廃鉱を見つけ、老人に尋ねた。老人は何故か突然怒り出してしまう。男は老人の怒りと、戻らない記憶に焦だち、森の家を出て行った。その夜、男は野火に囲まれ、危ういところで長老に救われた。そして、男は、老人が森を守るために暮しており、老い先短い老人に替って森を守ってほしいと長老に求められた。長老の言葉に動かされ、男は森の家に戻る。体全体で喜びをあらわす少女。その頃、一人の女がアフリカの台地に降りたった。男の恋人で、男を連れ戻すのが目的だった。一方、森では繁殖しすぎたクエラ・バードの巣が爆破された。その時、自然が天の怒りを呼んだのか、激しい雨が降り始めた。男は老人の身を案じ、森の家に急いだ。死期を悟った老人は二人に過去の話を始めた。廃鉱がかって老人の所有であったことや、爆発事故で死んだ老人の息子、つまり、少女の父のことなどを。老人は話を終えると、満足そうに息を引きとった。少女と男はキリマンジャロの見える丘に老人を埋葬した。そこへ、男を捜していた女が現われ、文明への帰還を説得する。女の説得は過去を思い出せない男には無駄だった。女は男に麻酔銃を射ちこんだ。しかし、野性に同化した男を連れ戻すことは出来ず、女は文明の社会へ戻った。少女のひたむきな看護で、男の傷は回復、さらに記憶もとり戻した。そして、男は「老人や長老の意志を継いで森に住もう」という確固たる決意を感じる。男はじっと少女を見つめた。見返す少女の眼からも涙があふれていた。アフリカの大地は、今日も何事もなかったかのように息づいている
監督
共同監督、撮影
脚本、製作総指揮
原案
製作
撮影
撮影
音楽
編集
照明
録音
現地録音
助監督
プロデューサー
スチール
[c]キネマ旬報社