笑福亭仁鶴
大門辰五郎
万国博でにぎわう大阪を舞台に、仁鶴、可朝、三枝の人気タレント落語家が主演する上方喜劇。脚本は「大日本スリ集団」の藤本義一と林禧男、監督の長谷和夫が共同執筆。監督は「戦いすんで日が暮れて」の長谷和夫。撮影は同作の平瀬静夫がそれぞれ担当。
ハナには三人の息子がいる。それがいずれも父親の違う兄弟で、いっぱしのやくざを気取る辰五郎、寿司屋の朝夫、学生食堂の給仕三四郎である。足腰がやや不自由で鼻ぱしばかりが強いハナは、ぐうたら息子たちにとっては荷厄介な存在、長男の辰五郎が持て余し、朝夫に預けると、朝夫も寿司屋の入婿で女房にはカラキシ頭が上らない。そこで三四郎にとお鉢が回るが、これもゲバルト学生気分が抜けない甲斐性なし。誰一人としてハナの頼みになる奴はいない。仕方なくハナは振り出しに戻って辰五郎の許へ。辰五郎は八州組の三ん下だが、親分が死んで組は解散。八州組と対立していた天友組はにわかに勢いを得て辰五郎兄弟が日頃から尊敬している本山病院の立退きを病院の地主から権利をおどしとり迫ってきた。見るに見かねた辰五郎は八州組再興をはかるためハナをおきざりにして四国に走ったが、見事失敗して乞食同様のていたらくで大阪に舞い戻る。置きざりにされたハナは本山病院に助けられ、持病の中風も快方に向っていたが、恥の上塗りをした辰五郎はやけっぱちになり天友組に殴り込みをかけたが簡単に袋叩きにあい、ハナ同様本山医師やその娘幸子に世話になる仕末。そんなことがあってから天友組のいやがらせはますますエスカレートして幸子を人質として誘拐してしまう。歯ぎしりして、くやしがる辰五郎、朝夫、三四郎だが手が出ない。その時、現われた馬場平八郎は余人にあらず、辰五郎の父親つまり最初のハナの亭主である。天友組に乗り込んだ平八郎は血を見ることなく幸子を救い出し、立退きも十年後という条件になった。事件が無事落着して平八郎とハナは三十年ぶりによりを戻した。朝夫の妻加代も身ごもり、おめでた続きだったが、これを機会にかねてよりの希望だった救ライ運動のためにインドに旅立つという幸子の話を聞いた、三兄弟はハタでみるのも気の毒な程の落胆ぶりだった。兄弟三人は幸子に完全にいかれていたのだった。
大門辰五郎
中村朝夫
小林三四郎
ハナ
本山博
本山幸子
馬場平八郎
安田安治
北川北六
天友寅雄
姫島
尚江
監督、脚本
脚本
脚本
製作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
スチール
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