佐藤友美
葉子
作家志願の女葉子が、四人の男との愛欲にひたりながらも、自由を求めて奔放に生きる姿を描く。原作は徳田秋声の『仮装人物』。脚本は秋声ファンとして知られる「激動の昭和史 沖縄決戦」の新藤兼人。監督は「眠れる美女(1968)」の吉村公三郎。撮影は佐藤昌道がそれぞれ担当。なお、この作品は本誌昭和四十三年七月下旬号(四七三)「日本映画紹介」欄に「熱い夜」として紹介したが、題名が変更になって八月二十五日に封切られたものである。
梢葉子は、私淑している作家稲村に原稿を読んでもらうために北海道から上京した。葉子は二十三歳、魅力ある女である。女学生の頃、従足の秋本と恋愛事件を起こし、無理矢理大地主の松川と結婚させられたが飛びだしてきたのだった。葉子は稲村の紹介で出版社有文堂の一色と面識を持った。二人は間もなく恋愛関係をもつようになった。葉子の小説が本になった頃、彼女は青年画家山路を知った。一方、稲村は突然妻を亡くし、一色と別れた葉子との仲は急速に進んでいった。稲村は子供たちの勧めるように結婚にふみ切れなかったが、葉子の若い肉体に溺れていった。しかし上京した秋本が葉子のあとをつけまわすようになると、稲村は葉子を独占できない苛立たしさを感じるようになった。葉子は秋本から今でも生活費の援助を受けていたのだ。気まずくなった葉子は、ある夜、口論のあげく稲村の家を飛びだし、山路の許に走った。葉子に去られ、今さらのごとく自分の生活の中の空洞を見出した稲村は、葉子を探し廻り、家に連れ戻した。葉子には、稲村を利用し、いい小説を書こうという野心があり、稲村と生活していたが、次第に自分が逆に稲村のいけにえになっているのを感じた。ある日、葉子は婦人雑誌記者三谷の前で自分を罵倒した稲村と口論し、再び家を飛びだした。彼女は山路のアトリエを訪れ、結婚してほしいと迫った。葉子をモデルに裸婦像を描いたことのある山路はそれを拒絶した。葉子は雪がちらつき始めた街の中にあてもなくさまよいでていった。それは男を利用しようとしながら結局、男に利用された女の姿だった。
葉子
稲村
一色
山路
松川
秋本
庸太郎
咲子
稲村の妻
お鈴
三谷記者
山路の母
監督
脚本
原作
製作
製作
撮影
音楽
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督、スチル
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