へレン・サンダーホルム
へレン
スェーデンの首都ストックホルム、セックスの本場として多くの観光客が刺激を求めにやって来る、だが少女、ヘレンはそんな自分の街が好きではなく、海に、カモメが飛び交う、そして透き通るような鐘の音が聞こえる港でいつもロマンチックな夢にひとりひたるのだったが、ある日、港で物静かな青年ヨーランと知り合いいつしか恋を感じていった。いつものように二人で散歩している時、ジムとアネット夫婦という観光客と仲良くなり、ストックホルムを案内する事になった。実は、ジムとアネットはポルノ・ツアーとして刺激を求めに来ているのである。早速、ジムはヘレンをアネットはヨーランを、二人はゲームのように若い男女をあやつりだす。ある時は、ディスコティックで、そしてホテルで、ジムとアネットはセックスの街でお互いに歓喜に酔い狂い、恍惚の世界にのめり込んで行った。ヘレンはジムを、ヨーランはアネットを愛し始めた時、すでに大人たちのスワッピング・ゲームは終局に近ずいていた。傷ついたヘレンとヨーランは、ジムとアネットの去った後でも二度と逢おうとはしなかった。だが、二人が知り合った思い出の、あのカモメの飛ぶ、晩鐘の聞える港を、過ぎ去った恋をかみしめながらひとり歩き続けているヘレンと物陰に佇んでいるヨーランの姿があった。
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