ルノー・ベルレー
ピエール・サンドラ
昨年の「愛ふたたび」に次いで、ルノー・ベルレー二作目の日本映画出演作。言葉と国境を越えて愛が芽ばえるというメロドラマ。脚本は「札幌オリンピック」の山田信夫、監督は「めぐりあい(1968)」の恩地日出夫、撮影は「その人は炎のように」の逢沢譲がそれぞれ担当。東宝創立40周年記念作品。1972年9月2日より、先行ロードショー。
ピエールが、日本を訪れたのは、彼の唯一の友人で同じ動物研究家の藤田次郎に会う為であった。その頃、次郎はヨットを大島から油壺まで廻航しなければならなかったが、生まれたばかりのチンパンジーの世話で行けなくなり、ピエールと恋人の劇団員である矢島優子に頼む。優子は見知らぬ外国人と二人だけになることが恐しかったが、四、五時間の航行ということで渋々引き受ける。フランス語以外話せない男と、日本語以外話せない女を乗せたヨットが波浮港を出港した。ヨットは初めは快走したものの、次第に潮の流れに流されていた。さらにピエールの持病のマラリヤが再発。優子は途方にくれるが、やがて、狭いキャビンの中で言葉を国境を越え愛が芽ばえ始めていた……。そして無事油壺に着いた。ふたたび現実に戻った優子は、舞台稽古に没頭しようとするが、ピエールのことが気がかりでミスの連続。その頃、ピエールのマラリヤが再発。看病にあたった次郎がチンパンジーの容態が急変したという知らせを受けて、動物園へ。優子を想いながら闇の中で熱にうなされ続けるピエールの前に現われたのは、果して優子であった。夜が白み始めた頃、自宅に帰った優子を待っていたのは、次郎だった。次郎は優子に、ピエールは、今日、横浜からバンコックへ立つ、と告げた。次郎、ピエール、女優という仕事、あまりにも違う二人の世界、愛の言葉さえかわせない二人……。しかし、優子は全てを投げ棄て、横浜に向かった。船は出港していた。優子の眼に涙が光る。その時、ピエールが現われた。二人は走る、泣きながら笑いながら。二人が抱き合ったとき、祝福するかのように、真夏の太陽が輝いていた。
ピエール・サンドラ
矢島優子
藤田次郎
橋本節子
アンドレ・マルタン
ナディーヌ・マルタン
大野
井上
飼育係長
文芸部員
公安二課刑事
ユゴー俳優
エドレル俳優
監督
脚本
製作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
合成
助監督
製作担当者
スチル
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