ひとつぶの涙
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ひとつぶの涙

1973年11月3日公開、89分
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孤児園で育った明るく逞しい三人の青年と事故で失明した盲目の少女を中心に、働く若者たちの友情をさわやかに描く青春映画。脚本は「ときめき」の石森史郎、監督も同作の市村泰一、撮影も同作の小杉正雄がそれぞれ担当。

ストーリー

杉村英司は街のペンキ屋で働く青年である。幼い頃から孤児院で育った栄司は、全くの天涯孤独で、将来は画家になりたいという夢を持っているが今は仕事に追われカンバスに向う余裕などはなかった。ある日、栄司は、美しい盲目の少女・谷内京子と知り合った。栄司は、暗い境遇にも負けず、マッサージの学校へ通う京子に感動を覚えた。また京子も優しい栄司に好意を感じた。栄司には同じ孤児院で育った岩井稔という親友がいる。稔は、生活に困り彼を棄てて去った母親と逢える日を楽しみに、レストランでコックとして働いていた。その店には、京子の姉の和恵も働いていた。ある日、稔の店へ孤児院時代の仲間の野中吾郎が借金に来た。吾郎は不動産会社に勤め、羽振りがいいのだが、酒や女や賭けごとに金を使い果たしては、栄司と稔のところに金の無心に来るのだった。金が無く困っている稔を見た吾郎は、側にあった金を持ち逃げした。その金は、和恵が京子のマッサージ用具を買うために銀行からおろした金だったのだ。和恵は吾郎と同じ孤児院出と、稔と栄司をなじった。だが、京子は涙ながらに姉にそんな云い方はしないようにと懇願するのだった。数日後、吾郎が警察に捕まり、仲間が吾郎の仇と、栄司のペンキ屋に悪質なイタズラをした。栄司はペンキ屋をやめざるを得なかった。気落ちした栄司だが、孤児院の正子先生に励まされ、ビル工事専門の塗装店に就職した。店の主人は、自分も孤児院育ちだと、栄司を励ました。栄司と京子の愛は確実に育っていき、栄司は京子の眼となって生きることを決心した。ある日栄司はビル工事の塗装作業中、足場が崩れ数メートル下にたたきつけられた。病院に運ばれる最中、栄司はうわごとのように「僕の眼を京子ちゃんに」といいつづけた。京子は星空に向い、栄司のために一心に祈りつづけた。明け方、栄司は漸く意識をとりもどした。栄司の手を固く握り、見えない眼から涙をこぼしながら京子は優しく云った。「駄目よ、私をひとりぼっちにしちゃ……栄司さんは私の眼なんだもの……」

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作品データ

製作年
1973年
製作国
日本
配給
松竹
初公開日
1973年11月3日
上映時間
89分
製作会社
松竹


[c]キネマ旬報社