伴淳三郎
大高兵六
下川儀太郎の原作を、柳沢類寿と山根優一郎が共同で脚色し、新人・森美智夫が監督した喜劇。森監督は大正十二年生れ、主に福田晴一に師事した。撮影は「武士道無残」の川原崎隆夫。
奥山村きっての名門大高家の三男兵六は、能なしの女好きとして悪名がたかかった。そんな兵六は遂に勘当された。それから十五年--金権で観光大臣となった兵六が故郷へ帰ってくることになった。大臣になり赤坂の芸妓上りの喜美江を妻としているが、喜美江の同僚だった花奴はじめ相変らず女にめのない兵六である。さて、そのお国入りは、奥山村を地盤とする代議士山川桃太郎や南海興業の宮下から人気凋落を狙っての策謀で、駅には出迎えの人が一人もいないという淋しさであった。その上、山川達は兵六の女関係を暴露しようと、花奴を奥山に住みかえさせたり新聞社を抱き込んだりした。一方、兵六は小学校に気前よくピアノを寄附したため評判は上々。しかし女の方は相変らずで、小学校の若い杉浦先生の手を握ったりして、その恋人の新聞記者一郎を怒らせたり、秘書の青田を驚かせた。山川達はこれを知って、兵六に杉浦先生をとりもとうとするが失敗。こんどは花奴と兵六のホテルでの情事を子分の新聞記者金田、三谷らに記事にさせようとした。だが、正妻の喜美江が現われて謀略はまたも失敗。兵六は昔なじみの女お玉の家からの帰り道、村で農事用水として神聖視されている聖川に立小便したことから大騒ぎとなった。山川派は村人を煽動、また、杉浦先生が生徒たちに討論会を開かせたことをうまく転勤問題に持ちこんだ。村人たちは「杉浦先生転任反対」「ボンクラ兵六帰れ」のプラカードを立てて、デモ行進をはじめた。喜んだ山川たちは花奴を連れてデモ見物に現われるが、石を投げられ、罵倒される兵六をみた花奴は、事件はすべて山川派の策謀によるものと暴露、デモ隊のホコ先は一転して山川達に向けられ、事件は急転直下解決した。数日後、喜美江、花奴を左右に侍らせて故郷を去る兵六大臣は、二人の尻をなぜながら御満悦の様子だった。
大高兵六
大高お福
大高兵一郎
大高その
大高伍一
大高兵三
大高きん
お玉
花奴
喜美江
杉浦勝子
一郎
芸者染菊
青田
村山巡査
お君
山川桃太郎
宮下社長
生草校長
山田教頭
梨本先生
仁三郎
儀十
お勘
おたね
県知事
県会議長
三谷
金田
先生
役人
警察署長
商工会議所会頭
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