鶴見丈二
相模屋幸次郎
「妖花伝」の吉田哲郎の脚本を、「抜き足差し足忍び足」の天野が病いえて三年ぶりに監督したスリラー時代劇。撮影は「妖花伝」の竹村康和。「十六夜頭巾」から改題。
回船問屋相模屋は持船相模丸が嵐で沈んだという知らせを受け破産に頻した。若主人の幸次郎は再建費用の金策に奔走したが、ついに万策尽きて大川端で身投げをしようとした。その幸次郎の命を五百両で買おうと申し出たのは黒頭巾黒の着流しの殺し屋浪人、五日以内に幸次郎を誰にも判らぬように殺す代りに、金は必ず遺族に渡すと約束して消えていった。相模屋の奉公人が殆ど四散した後、先代の後妻お徳、小番頭鶴太と丁稚亀吉だけとなった。そんな時に、大番頭万造の妹と名乗るお銀が頼ってやって来た。船とともに沈んだ万造のことを思って幸次郎は店におくことにした。幸次郎の許嫁お妙は弁天詣での帰途、船と一緒に沈んだはずの万造がやくざに追われているのをみて驚いた。万造はお妙に相模丸は沈んでいないと告げて去った。お妙は殺し屋の浪人に救われた。その頃、幸次郎は自室で何者かのために危つく首吊りにされかけた。机上には覚えのない遺書までがあった。恐怖に家を飛び出した幸次郎は偶然に万造の死体を発見した。奉行所に訴えて役人同道で現場まで戻ってくると、そこには死体が跡形もなくなっていた。思案つきた幸次郎は先代からの協力者武蔵屋九兵衛や義母お徳に相談した。これを聞いた鶴太と亀吉は二人だけで幸次郎を守ろうと決心するのだった。その夜から、相模屋の仏間には殺人予告状が張り出された。“後二日”次の日には“後一日”の張り紙である。幸次郎は殺し屋に事件解決まで殺さないでくれと頼もうと探しに出た。途端に源八という男が匕首を持って飛びかかって来た。必死にかわす幸次郎は相手の匕首を奪って源八をさしていた。幸次郎は奉行所にひっぱられた。お徳が差し入れにきたがその中には毒饅頭がしこまれてあった。それをとめたのはお銀、実は目明しのお銀であった。わがこと成れりとほくそえむ武蔵屋の前に現われたのは、殺し屋浪人、ニッコリ笑って片肌ぬげば桜の刺青が夜目にも鮮やかだ。奉行遠山金四郎の前に一味はことごとく縛についた。武蔵屋とお徳が結託して相模屋を乗っとろうとしたのだった。
相模屋幸次郎
殺し屋の浪人
お妙
お銀
お徳
亀吉
鶴太
武蔵屋九兵衛
半五郎
堤小平太
万造
源八
ゆき
ある店の主人B
目明しB
船頭の家旅老爺
牢番役人
目明しA
ある店の主人A
船頭の家族女
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