萬屋錦之介
次郎長
マキノ雅弘・笠原和夫・小野竜之助の共同脚本を、「神田祭り喧嘩笠」のマキノ雅弘が監督した娯楽時代劇。
清水港は米飢饉だった。米問屋坂田屋の養子長五郎は、米を売るわけにもいかず、昼間からバクチにふける無頼の日々を送っていた。ある日、浪人姿の老人嘉平次が、店先で脇差を突きつけて米をゆすった。長五郎は、嘉平次を痛めつけたあげく、一袋の米を与えて追いかえした。だが、屈辱を受けた嘉平次は、一人娘のお美根を残して割腹した。長五郎は、与えた米が親子の別れの宴に使われ、またお美根が自分を憎んでいないのを知ると心を打たれた。難民達に禁制の米を売る決心をした。米俵の上でタンカをきったが役人に補えられた。やがて家に戻った長五郎に、父の三右衛門は、相撲上りの常に命じて紀州向けの船に乗せた。この梵天丸には、法師の大五郎に増川の仙右衛門が女房のお照を連れて密航していた。喧嘩の結果、長五郎が船の頭となった。長五郎は梵天丸の方向を米どころの尾張に転じた。だが、米は一切やくざが仕切っているので手に入らなかった。長五郎は尾張一のボス権六のもとにのりこみ、丁半のサイに賭けて三百俵の米切手を得た。切手を米に変えるべく、一路桑名をめざした。ところが、桑名の米問屋伊勢屋では、古市の伝兵衛のさしがねで米を渡さず、あげくのはてには斬りつけてきた。三五郎が力を貸し、長五郎を逃がしてくれた。チャブ屋街に逃げこんだ長五郎は、お美根に再会、傷の手当を受けた。三五郎から四日市で、表向きの花会、実はヤミ米の大取引が行なわれるということを聞いた。長五郎は、名も清水の次郎長と変え、親分衆の並ぶ花会にのりこんだ。命を張った次郎長の鉄火啖呵に、さしもの親分衆も声がなく、次郎長の男に惚れた大前田英五郎の計らいで米を受取ることができた。梵天丸は清水へ向った。
次郎長
仙右衛門
鬼吉
豚松
大五郎
お相撲常
お蝶
お美根
お照
大前田英五郎
三右衛門
おせい
安造
大熊
広吉
新吉
嘉平次
伝兵衛
権六
半次
伊勢屋甚右衛門
鳴海屋藤兵衛
安濃徳右衛門
寺津治助
三五郎
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