勝新太郎
鯖江半太郎
「わんぱく公子」の松村正温の脚本を、「晴小袖」の安田公義が監督したミュージカル風な時代劇。「唄は峠を越えて」の牧田行正が撮影した。
江戸屋敷に滞在中の三日月藩息女春姫は、食物の好みがうるさく賄方下役の鯖江半太郎の苦労が絶えなかった。ある夜、お忍びで姫は町娘姿をして屋敷を抜け出した。盛り場で般若の鬼造一家が姫に難クセをつけた。それを職人に化けた半太郎が救った。仕返しに来た鬼造一家を、浪人者梶原源之助が追っぱらった。これが縁で二人は腰巾着の新公、女形役者雪之丞らと親しくなり、居酒屋たぬきでドンチャン騒ぎをはじめた。次の夜、春姫と半太郎はまたたぬきに出かけ、流しのおみよ、おみね姉妹に出会った。姫の行状を知った江戸家老駒田覚左衛門と次席の鹿野十太夫は盛り場へ出かけた。覚左衛門は喧嘩の最中の半太郎を呼びつけ叱りつけた。姫は半太郎が藩邸の賄方だと始めて知った。春姫の上京の目的は、伯母爾光院の画策で堀尾家の若君との見合だった。姫は食事のわがままをいわなくなり、半太郎に五十石加増を命じた。半太郎は春姫の見合の場所、根岸の別邸へ下調べに行った。途中でおみね姉妹の両親茂兵衛とおすぎにあった。夫婦は姉妹が大名屋敷の腰元になっていると思っていた。姉妹は嘘をついていたのだ。同情した半太郎は別邸を無断で使って姉妹を腰元に仕立てることにした。源之助も半太郎の素性を知って協力を約した。お春を姫とは知らぬ半太郎は、彼女をおこらせ、入牢を申渡された。別邸の用意は整った。一座の者は初めてお春が姫だと知った。別邸には爾光院、覚左衛門、許された半太郎が駆けつけた。半太郎は罪を一身に引受けるといった。爾光院も事情を知り、半太郎に一千石の加増を申付けた。源之助は堀尾家の家臣で姫の行状を調べていたことを打明けた。そして上司に姫の行状の立派さを報告した。別邸ではにぎやかな酒宴が展開した。
鯖江半太郎
春姫
おみね
おみよ
梶原源之助
楓
荻江
浪路
新公
雪之丞
爾光院
おすぎ
賄頭権兵衛
鹿野十太夫
般若の鬼造
駒田覚左衛門
乾分丑五郎
茂兵衛
磯田甚兵衛
小郡弾正
牢番乙
牢番甲
三日月藩士