本郷功次郎
春樹
「サラリーマン奥様心得帖」の若尾徳平の脚本を、「桜田門」の西山正輝が監督した純愛物語。撮影は「旅はお色気」の本田平三。
美津子は祇園町のお茶屋「福住」の一人娘だが、自分から舞妓になった。彼女の夢は旦那をもって一人前の芸妓になることだったが、母の菊代はむしろ地道な結婚を望んでいた。菊代の意中の人は、木屋町の料亭「鮒好」の息子隆一だった。都おどりが終った翌日、美津子は中学時代の仲よしグループとハイキングに出かけた。彼女たちは、途中知りあった東京城南大学の写真部員川村春樹らのグループと合流した。美津子はいたずらから富豪の令嬢として紹介され、それらしく振舞った。春樹たちは「京都と女性」という課題写真の取材旅行にきていたのだった。春樹は美津子にモデルを依頼した。翌日から、美津子は昼間は洋装のお嬢さんとなって春樹とともに京都の観光地をめぐり歩くモデル、夜はお座敷づとめという忙しい生活が始まった。彼女は地道な結婚を選ぶ気になり、日頃から兄のように思っている隆一を選んだ。隆一は美津子の恋人が春樹であることに失望したが、彼女の考え方には同意した。美津子は隆一から「福住」が「鮒好」に莫大な借金をしていることを知った。母のすすめる縁談は、借金の代償に売られるのも同然だったのだ。しかし、芸妓の〆春から出生の秘密を聞かされると気持は変った。美津子は菊代の実子でなく、旦那の正妻の子だった。彼女の両親が死んだのをみて、美津子を引取ったのだ。「鮒好」の借金も美津子が舞妓に出るときの費用だったという。美津子は、かねて話のあった大山社長の世話になって芸妓になることを頼んだ。それが菊代の恩に報いることだと信じたからだ。美津子は春樹との約束を思いだした。神戸から京都経由で帰る春樹に、自分の住所を教え、今後交際を続けようという約束だった。美津子は京都駅へ駈けつけた。春樹は、動き出した車窓から、美津子が駈けてくるのを見た。ホーム立ちつくす美津子の両眼からは、とどもなく涙が流れた。が、祇園へ帰ってきた彼女のまなざしには、感傷のかけらも残っていなかった。化粧をなおす鏡に向って「これで舞妓の休日はおしまいや。美津子はん、しっかりおやりやっしょ」と美津子は、つぶやくのだった。
春樹
美津子
隆一
早苗
絵美
舞妓竹子
邦江
黒田
菊代
静子
観光バスガイドB
舞妓小鈴
お君
佐久間
阿部
大山
住職
絵美の母
芸妓歯勇
芸妓〆春
とみ子
芸妓雪次
「よし君」の仲居
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