東千代之介
夏海小六
「新黄金孔雀城 七人の騎士」の結束信二の脚本を「橋蔵の若様やくざ」の河野寿一が監督、「新吾二十番勝負 第二部」の川崎新太郎が撮影した娯楽時代劇。
直情径行の夏海小六は某藩の御書院番士だが、胡麻すり重役に鉄拳をふるい、国境警備の勤番所へ左遷された。乱痴気騒ぎの送別会から脱け出してひさご屋で盃を重ねる小六に「二度と短気を起さないでね」と看板娘のお景がいった。小六の新生活は勤番所支配岡崎六郎左衛門の陳腐極まりない訓示から始まるが、ここにいる先輩たちはいずれもお城勤めに失敗して左遷されて来た連中ばかり。地方行政の改革を念願として赴任した小六にしてみれば、無気力な先輩の姿が情ない。そんな小六の眼に、番士中の異端者春山大六の行動が強い印象を与えた。大六はことなかれ主義が巾を利かせる勤番所を嫌い、町の見まわりに飛び歩いて席の温まる暇もない。その大六の口ききで旧家の一室に落ちついた小六に、「大六は腹黒い人物だから敬遠するように」と支配たちが曰くあり気に牽制した。支配たちと大六の対立は、六菱屋、四井屋、住仲屋ら出入り商人の藩有林入札をめぐる利害関係に原因しているのだった。悪商人と支配派の結託を小六に洩らしたのは孤立無援の大六だが、出入り商人を戸別訪問して入札の情報をカタに、大六が莫大な賄賂をうけている、と告げたのは支配派だ。かくて、小六は入札汚職の糾明に乗り出した。支配派と商人たちが料亭花枕で飲めや歌えやの酒宴の最中、「貴様たちに天誅を加え、俺の武士道と藩有林を護って見せるぞ!」と小六が躍り込んだ。そのとき、大六に伴われた若殿君太郎が駈けつけた。「藩政をないがしろにする支配、悪商人ども、残らず成敗してくれる」。大六の不審の行動は、君太郎の命を受けて、勤番所の不正をあばくためであったのだ。かくて、新たに勤番所支配を命じられた大六は、かねて恋仲の旧家の娘お雪を妻に迎え、小六もはるばる訪ねて来たお景をかたく抱きしめるのだった。
夏海小六
君太郎
お景
お雪
八重
金谷市助
岡崎六郎左衛門
大垣四郎兵衛
刈谷弥兵衛
豊橋平之助
菊川蔵兵衛
島田文太夫
米原角之進
六菱屋金右衛門
四井屋銀右衛門
住仲屋銅右衛門
鉄造
松造
泥吉
大磯采女
藤沢勘兵衛
平塚善五郎
早川久之助
吉原平馬
権兵衛
伍助
お千代
春山大六
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