山村聡
三沢平太郎
オール読物連載の源氏鶏太の原作を、「献身」の新藤兼人が脚色。「女の勲章」の吉村公三郎が監督した老サラリーマンをめぐるホームドラマ。撮影は「可愛いめんどりが歌った」の小原譲治。
妻を七年前に亡くした三沢平太郎は三十年のサラリーマン生活を終え百五十万円の退職金を得た。彼はこれに貯金百万円を加え、四人の娘に自分を含めて平等に五十万円ずつ分けることにした。その金は娘たちにとっては結婚資金になるはずで、平太郎自身は不動産会社に嘱託として勤めることにした。平太郎は五十五歳、飲み屋の玉子に入れ揚げる身でもあったが、再婚話も持ち上っている。さて、五十万円ずつもらった四人の娘たちは--長女一代は婚期を逸し恋愛にも破れ、職場の上司落合課長と親しくなり体まで許す仲となっていた。落合は妻子と別れて結婚しようといっていたが次第に冷くなり、怒った一代は会社を辞め友人の紹介もあり五十万円を元手に喫茶店を経営することにした。二女の二美子は、五万円も貯金しているしっかり屋。二十四歳の結婚適齢期を迎えて少々あせり気味の昨今、結婚を約束した恋人長田から彼の兄の会社を救うためといわれ、五十万円貸してしまう。ところが、同じ職場の石辺は二美子を愛していて、長田との逢引を散々邪魔する。二美子は怒るが、肝心の長田は……。三女の三也子は勤めに出ず家事の切り盛りをしている内気な娘。結婚話が破談になったところを父の会社の専務で、父とは友人の遠藤の息子に同情され交際していたが、その遠藤も突然フランスへ去り、それっきり。四女の志奈子はドライ娘。五十万円を元手に会社内で高利貸しを始めたが、同僚の青年広瀬の強引な作戦にひっかかり十万円を貸した相手が広瀬の友人の若い男女。彼らは十万円ないと結婚できないと泣きついてきたもので、志奈子は返金を危ぶんで断わったが広瀬にしてやられたというわけ。ところで、その後の平太郎と娘たちは--。一代は落合と別れ喫茶店の経営に入り、店の装飾をデザインした杉本と結ばれる。そして店の前経営者安子は意外にも平太郎の再婚話の相手。安子は一雄という男の子を連れていたが、二人も結ばれそう。そして二美子は、長田から別れ話を持ち出される。が、石辺の愛に甦り、三也子はまた平太郎の新しい勤め先の好青年竜田とようやく明るい生活がもてそうになる。四女の志奈子は、しっかり屋の看板をおろして広瀬と結婚を決意する。かくて三沢家には五組のカップルが生まれることになったのである。
三沢平太郎
長女一代
二女二美子
三女三也子
四女志奈子
杉本五郎
石辺太郎
広瀬和孝
竜田竜吉
長田吉夫
落合課長
愛沢安子
玉子
花枝
吉井夫人
遠藤専務
今関正資
野田清子
昔の同僚
女秘書
式場の司会
男A
男B
バーテン
不動産会社社員
不動産会社社員
不動産会社社員
不動産会社社員
うなぎ屋の女中
[c]キネマ旬報社