若山富三郎
三崎の新次郎
「お琴と佐助」の衣笠貞之助と「続・座頭市物語」の犬塚稔が共同で脚本を執筆、「ソーラン渡り鳥」の加戸敏が監督した股旅もの。撮影は「怪談夜泣き燈籠」の本田平三。
たった一人の妹をさらっていった男東之輔を探し求める旅鴉、三崎の新次郎の眼をふと捉えたのは仔細ありげな幼な児太吉と彼にまとわりついている男多九郎の姿だった。母を失い行方の知れない父徳三郎を尋ねて加賀の小松へ行く太吉と、甘言でつろうと手古ずっている道中師の二人連れと分っては放ってはおけぬ新次郎。その後で編笠から顔を出した浪人こそ、新次郎が探し求める人だったのだが。翌日からの三人旅、とんだ当外れの多九郎は新次郎の懐中物を掠め取るとスキをみて逃げ出した。その夜、寺井の宿にはちょっとした騒ぎが起った。廓の女楓に柄にもなく仏心を起した多九郎が、足抜きさせたのが露顕したのだ。この仕置に出張ってきたのは、この一帯に羽振りを利かせている小松の若親分という男だった。指を詰められて悲鳴を上げる多九郎の所へ薬をもって現れたのは新次郎と太吉、瞬間痛みも忘れて狼狽するゴマのハエ氏だった。翌日、新次郎、太吉、多九郎の三人は祭で賑わう加賀の小松へ着いた。早速、探し当てた徳三郎とはあろうことか、昨日の小松の若親分と称する男だった。そして徳三郎は三年振りに対面した太吉を前にして顔色一つかえず新次郎を逆に騙り呼ばわりする冷血漢だった。折しも彼は、親分美能常と日頃の仇敵加賀伝相手の喧嘩に備えていた。新次郎はかつて世話になった梶鉄の伜朝之助が徳三郎の許に捕えられているのを救った。丁度その頃、喧嘩の噂を聞いて助人志願の東之輔が徳三郎を訪ねていた。早朝の薄野原、そこには美能常、加賀伝の血生臭い喧嘩がくり展げられていた。徳三郎を仇と狙う朝之助の姿も混っていくらかの時が移った。一群から少し離れたところに、抜打ちやくざ新次郎と豪剣浪人東之輔の息づまるような凄絶な対決が行われていた。
三崎の新次郎
山形東之輔
朝之助
徳三郎
多九郎
お良
お竜
お春
楓
富蔵
美能屋常吉
山五郎
島三
お兼
お万
太吉
粂次
音松
竹七
夏吉
源助
老人
惣吉
丑六
五十年輩の男
職人風
侍
民造
勘五郎
増造
遣手婆
女郎一
かせ
女郎三
女郎二
小女
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