大川橋蔵
半次
高岩肇の原案を「風の武士」の野上龍雄と「ならず者(1964)」の石井輝男が共同で脚本を執筆、石井輝男が監督したアクション時代劇。撮影は「無法の宿場」の脇武夫。
伝馬町の牢内で、緋牡丹半次は、煙りの富蔵と異名をとる大盗人と知り合った。富蔵は、向っ気の強い半次に、自分の若い時の姿を見る思いで、不思議な愛情を抱くようになった。釈放された半次は、新御番組、神谷帯刀に再会した。半次と帯刀は元同じ旗本であった。だが百俵十人扶持の貧しい家碌のために、権力にこびねばならぬ侍稼業に嫌気がさして、半次は市井にとびこんだのだった。その後帯刀は、筆頭与力目付役林肥後守に取り入り、今では、その娘婿として、将来を約されていた。勝ち誇ったような帯刀の態度に、半次は反感をもった。一方富蔵は、長年江戸城内の御金蔵破りを夢見ていた。富蔵から相談を受けた半次は、帯刀とのこともあり決意した。決行日は八月一日、この日は、徳川家康の江戸開府の祝があるのだ。だが肝心の絵図面が入手できない。富蔵は、花火師玉屋の一人娘おこうが、中臈なのを利用して、絵図面をものにしようとした。その役目をあてられた半次は、激しい情熱をもって、おこうの女心をゆさぶり、お局への道順を聞きだした。さて盗んだ金は大奥の下ごえをとりにくる肥たご船の樽にかくし運搬することに決った。万事準備は整ったと思ったが、おこうの乳姉妹おくめが、弥太五郎の乾分紋太の情婦で、二人の行動を弥太五郎に知らせたため、形勢は不利になって来た。また目明し勘兵衛も二人の後をつけていた。八月一日、御金蔵の警護は組頭に昇進した帯刀を中心に、厳重をきわめていた。弥太五郎たちも、金箱を横どりしようと、半次らのあとを追って乱闘となったが、ついに金箱はおわい船の中に納った。だが津田沼岸で待つ、富蔵と半次を前に、船は金の重味で沈んでいった。だがむしろ晴ればれとした富蔵は、罪の自責に、自から命を絶った。一方半次は、おこうと新しい生活へと出発した。
半次
煙りの富蔵
おこう
勘兵衛
神谷帯刀
弥太五郎
嘉助
丑松
梅吉
紋太
庄五郎
竹造
林肥後守
さよ
伝造
市川新五郎
将軍
老女
善右衛門
吉兵衛
三右衛門
番士