大川橋蔵
武村久雄
「忍び大名」の比佐芳武がシナリオを執筆「新吾番外勝負」の松田定次が監督した侠客もの。撮影もコンビの川崎新太郎。
大正初期の神戸湊川新開地。当時そこは最大の歓楽地帝で博徒、クスブリ、バラケツなどの争いが絶えなかった。地元兵庫県警察本部でもこの地区には、特に監視の目を向けていたが、鬼刑事武村久五郎刑事部長の関心は更に強かった。それと言うのは、久五郎には、久雄という息子がいたが十六歳の時母を亡くし、後妻と合わず、勘当され、家出をすると、今ではこの歓楽街でバラケツ仲間として顔を売っているからだ。こんなある日、学生バラケツ秋月京太郎が久雄を頼ってやって来た。意気投合した二人は、福原へ遊びに出かけ、帰り久雄は一人で情婦福原芸者の花奴と酒をくみ交し、泥酔してしまった。夜中、うたた寝から目ざめた久雄は、傍の花奴の無惨な死体に驚愕した。廊下には仲居のお梅までが、久雄の匕首で刺されていた。あわてた久雄は裏手の窓から屋根づたいに逃げたが、ちょうど警羅中の久五郎は、胸騒ぎを覚え、現場に立って呆然とした。久雄のしわざと思い込んだ久五郎は、久雄の代りに自首して出た。新聞はこぞって名刑事の殺人事件を書きたてた。身に覚えのない久雄は、放心した毎日を送った。秋月はそんな久雄を力づけた。事件後一週間を過ぎたが、ナゾは解けず、久雄は父を思い自首を決意した。久五郎は逮捕されてからというもの、自責の念にかられ、鉄格子の中で断食をしていた。しかし、久五郎にも、疑惑があった。それは花奴の体内に睡眠薬を飲んだ形跡があることに、つながる、謎であった。釈放された久雄に同情は集り、事件の究明にのり出した。そして、栗本隆吉の名があがった。栗本は元兵事部長在職中、軍医坂内兵助と結託して、暴力団員五〇名を丙種として軍籍から除き、暴利をむさぼっていた。それをかぎつけた久五郎は、栗本を追っていたのだ。そしてこの事件は栗本がたくらんだ、久五郎追出しの策であったのだ。バラケツを集結して、栗本に殴りこむ久雄の目に明るいものがあった。
武村久雄
武村久五郎
相良主任
妙子
おかつ
花奴
佐和勘吉
新川勝兵衛
菱川万吉
山田友三
岩岡金治
平原課長
井川刑事
村上刑事
西田刑事
木下鹿造
角造
江藤安之助
井沢大吉
鉄砲松
庄七
大月屋利助
留次郎
田川幸吉
おさき
おかね
お浜
お梅
お茶羅
小西清次郎
栗本隆吉
秋月京太郎
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