木村功
島村
川端康成の同名小説を「二人だけの砦」の斎藤良輔と「残菊物語(1963)」の大庭秀雄が共同で脚色大庭秀雄が監督した文芸もの。撮影は「夜の片鱗」の成島東一郎。
島村が初めてこの温泉町を訪れた時、駒子は芸者ではなかったが、大きな宴会には頼まれて踊ることもあった。駒子は十六の時に東京にお酌に出たが、旦那がついて、踊りの師匠で身を立てるつもりが、旦那の急死で実現せぬまま、この町で過していた。島村は駒子に芸者を世話して欲しいと頼んだが、駒子は、欲望を処理する道具としてしか考えない島村に反発を感じた。また島村もそんな不思議なまでに清潔な駒子の姿に、侵し難い美しさをおぼえた。いつか、駒子が島村の部屋を訪れるようになった。友達でいようという約束も、島村から破っていった。駒子は人目をしのんで夜更けに帰っていった。島村が、再び雪国を訪れたのは、半年後のことであった。車中、病人の青年を夫のようにいたわる女、葉子の不思議な目に惹かれた島村はその病人行男が駒子の踊りの師匠の息子だと知り驚いた。その頃駒子は芸者になっていた。二人は自由に逢瀬を楽しんだが、葉子の目は島村を冷く刺した。島村は町の人から、葉子も駒子も師匠の養女だが、今では師匠をはじめ行男、葉子のめんどうを駒子がみているのだと聞いた。そして行男と駒子が許婚者であることも知った。この話を聞いた駒子は、行男との間を否定したが、それ以上何も語らなかった。島村が三たびこの温泉場を訪れた時、師匠も行男もこの世の人ではなく駒子も今は、葉子と別れ、年期奉公の身であった。今は一人の男として、駒子を抱く島村の腕の中で駒子は、芸者としてもて遊ばれた自分をみて、口惜し涙があふれた。翌日縮の町を訪れた島村は、厳しい雪の上で布を織る雪国の女の姿に、駒子の心を見た。この日、島村は、自分の心を恥じて、雪国を去る決心をした。突然半鐘が鳴った。雪の中、広がる炎の中に、葉子を救けに走る駒子は「もうお帰りになって」と島村に言い残すと、炎の中に消えた。島村は翌日雪国を去った。
島村
駒子
金太郎
葉子
行男
踊りの師匠
宿の番頭
女中
按摩
島村の妻
宿のお内儀
置屋のお内儀
芸者菊勇
駒子の旦那
島村の友人小泉
駅長
客ターさん
監督、脚色
原作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
企画
スチル
脚色
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