佐久間良子
有里
平岩弓枝の同名小説(東京文芸社刊)を、「うず潮(1964)」の田中澄江が脚色し、「柳ケ瀬ブルース」の村山新治が監督した文芸もの。撮影は「渡世人」の飯村雅彦。
父母の遺骨を抱いて、北海道、塩谷から、故郷の紀州へ帰った鉄道員の室伏雄一郎は、そこで伯父夫婦にすすめられ、中里家の長女弘子と見合いをした。が、雄一郎は鼻持ちならない文学少女気取りの弘子より、優しく古風な風情をもつ次女の有里に心をひかれた。雄一郎が帰ってまもなく、中里家の一行が、雄一郎の生活を知るために北海道を訪れたが、雄一郎と弘子の縁組は予期したとおり破談に終った。やがて、紀州に帰った有里に、雄一郎から求婚の手紙が届けられた。下積みで貧しいが、雄一郎の日々のなかにこそ本当の生活を見出していた有里は母みちの反対を押し切って、雄一郎のもとへ走った。つつましい結婚式があげられ、有里には鉄道員の妻としての新しい人生がはじまった。やがて、雄一郎は、先輩の関根の助力と友情を得て、車掌試験をうける決心をし、猛勉強のかいあって見事合格した。そんな平凡だが、幸せな日々に少なからず波紋をなげたのは、雄一郎の幼ななじみの三千代の帰郷だった。三千代は夫との仲がうまく行かず、離婚を決意しており、失意と孤独のどん底にあった。そんな三千代に雄一郎がなにかと助力してやったことで、二人の仲を疑う噂や中傷が周囲に流れ、それはやがて有里の耳にも聞こえてきた。雄一郎を信じてはいるものの、有里の心は少なからず動揺した。しかし、雄一郎の助言で、三千代が再び生きる自信をとり戻したことで、この小さな疑いも消えていった。数ヵ月後、転勤となって釧路へ行く雄一郎と有里の姿があった。有里のお腹の中には二人の愛の結晶が宿っていた。
有里
雄一郎
三千代
はる子
千枝
しの
南部駅長
良平
新平
伊藤栄吉
関根
雄一郎の伯父
雄一郎の伯母
みち
勇介
弘子
南部節子
浦辺
和子
助役
千代子
売店の小母さん
弁護士
医師
雄一郎(10歳)
雄一郎(14歳)
三千代(8歳)
はる子(15歳)
伊藤栄吉(17歳)
監督
原作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
企画
企画
企画
スチル
脚色
[c]キネマ旬報社