谷啓
古田茂作
「産業スパイ」の野上龍雄と「喜劇 爬虫類」の田坂啓が脚本を共同執筆し、「密告 (たれこみ)」の瀬川昌治がメガホンをとった“競馬必勝法”シリーズ第三作。撮影は「盛り場ブルース」の飯村雅彦が担当。
競馬好きの古田茂作は、町の期待を一身に受けて、清掃課から、市営競馬場の所長に抜擢された。公務員は馬主になることはもとより、馬券一枚買うことすら御法度。茂作はそんなことなど気にしなかった。しかし、茂作には悩みがあった。妻マリにせがまれる夫婦のいとなみについて行けず、孫を欲しがるマリの母親や祖母にまで、その怠慢をなじられていたのだ。茂作は考えたあげく、競馬場の嘱託獣医三川剣山に相談をもちかけた。剣山は同情のあまり心臓弁膜症という病名を彼に与え、茂作はそれをマリにふれ込んで夜の交渉をたった。ところが一難去ってまた一難。茂作は、不調続きの経営で市長から厳しい非難を浴びせられた。茂作が人目をさけて剣山に預けていたモサク号が、品種改良の実験材料として去勢されたのはそんな折だった。起死回生のチャンス、記念ダービーが迫った。今となっては、呼び物いりの名馬を揃えた大レースにするより打つ手がない。ある日、大橋巨泉と名乗るペテン師が競馬場の視察にやってきた。名馬を欲しがっていた茂作は、巨泉のうまい話に乗せられてまんまと三百万円をだまし取られてしまった。その大金は、マリが実家の山形屋旅館を担保に借りた金だった。途方に暮れる茂作を見かねた剣山は、返済のたしにと二十万円を用意した。茂作が、一生一代の賭けを思いついたのはその時だった。早速、所長を辞任した茂作は、剣山と組んで勝負に挑んだ。ところが、頭に買ったモモヒキが、腹をこわしているという情報が入って予想はガタガタ。そんな二人の急場を救ったのは、今まで自分の競馬狂をひた隠しに隠していたマリだった。彼女の予想は次々と的中。ところが茂作は、マリの予想を信用しなかったばっかりに、第五レースで大失敗。文無しになった茂作は、最後の勝負に賭けることにした。愛馬モサク号を問屋に売りつけると最終レースに挑んだのだ。二万円の大穴勝負は見事に的中。四百万円もの配当を手にした茂作は、山形屋とモサク号を買い戻し、悦に入るのだった。
古田茂作
古田マリ
三川剣山
大橋巨泉
ジュン安達
姫野小春
姫野玉江
梅谷大造
かおる
ミチ
ワンコ
鰐口権太郎
河内虎
正一
勝三
源
石山
木村
予想屋
女中
芸者
投票所の女事務員
ゴルフ場女事務員
11PMのホステス
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