黛ジュン
阿部潤子
新人のジェームス三木と「天使の誘惑」でメガホンをとった田中康義が共同で脚本を執筆した純愛もの。監督は田中康義、撮影は「恐喝こそわが人生」の丸山恵司が担当した。
看護婦の阿部潤子は、同じ病院に勤める青年医師北野を愛していた。しかし、出世を夢みる北野は、坂口教授の令嬢輝子に、熱をあげていた。そんなある日、潤子は北野に付添って出かけた往診先のマンションで火事にあった。一人とり残された潤子を助けたのはボクサーの森田だった。それから数日、北野からボクシングの切符を貰った同僚梨技が、潤子を観戦にさそった。それは、偶然にも森田の試合だった。潤子は、自分の命を救ってくれた森田の勝利を祈った。試合終了後、拳闘クラブに森田を訪ねた潤子は、お礼に小うさぎのマスコットを贈ったが、森田は「人形よりは、死にそこないのあなたの方に興味がある」とぶっきらぼうに、話すのだった。潤子は、そんな森田に好感を持った。そして二人は森田の郷里伊豆で互の愛を確かめあった。やがて、森田は、北野を訪れ、潤子と離れて欲しいと頼んだが、冷淡にあしらわれてしまった。怒った森田は、北野の恋人輝子の家に行き、はげしし剣幕で迫った。輝子は、男らしく逞しい森田にひかれた。それから間もなく、森田は東洋チャンピオンに挑戦した。森田は善戦しチャンピオン・ベルトをしめたが、激しい試合で視神経を犯されていた。潤子の付添う病室に輝子が見舞いに来た。そして輝子は、森田との仲を口走るのだった。涙にくれて帰る潤子。見えぬ月で彼女を追った森田が、自動車のライトをさけきれず、帰らぬ人となったのは、その直後のことだった。
監督、脚本
脚本
製作
製作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
スチール
[c]キネマ旬報社