監督、脚本、編集
新人の東陽一が脚本・監督を担当、現代日本の焦点沖縄を描いた長編記録映画。
ストーリー
爆音の中の沖縄。頭上をベトナムと沖縄を結ぶ軍用機が去来し、すでに、日常的現実となっている。本土からの観光客を乗せて走る観光バスの向うにはB52の黒い尾翼が屹立している。観光案内をしていたガイド嬢が、突然、「沖縄を返せ」を歌いはじめた。観光客の間をぬって観光パンフレットを売る老婆。ひめゆりの塔につどう観光客。その丘の下ひめゆり洞穴の中では、二百四十九名の少女が沈黙の青春を送っている。銃弾を浴びた岩がそのまま残っている。ここを訪れる客は、ほとんどいない。戦後二十余年、“日本の沖縄”としての叫びが高まって来た。基地の町コザで、基地撤去反対のデモがあった。それは基地によりかかって生活する人々のデモだった。床屋志望の少女が尋ねた。「東京の理容学校ではちぢれ毛の刈り方を教えてくれるでしょうか」と。嘉手納の滑走路はケネディ空港に次ぐ規模をもつ。B25が、石垣島の遥か上空を通過する。宮古や石垣の上を日常的に飛ぶ爆撃機は、ベトナムと沖縄列島を連結させている伊江島では、基地の中に小屋を建て、土地を奪い返えすための闘争が続いている。