市川雷蔵
おさらば伝次
「千姫御殿(1960)」の八尋不二の脚本を、「薄桜記」の森一生が監督した、現代調の股旅もの。撮影も同じく「薄桜記」の本多省三。主な出演者は「薄桜記」の市川雷蔵、真城千都世、「初夜なき結婚」の川崎敬三、「魔笛若衆」の浦路洋子。
遠山金八郎は美濃太田の金山代官黒崎主膳の不正摘発の命をうけて旅に出た。色男ぶった彼はたちまち美人局にひっかかり、おさらば伝次という男に助けられた。伝次は手数料をとって無頼漢撃退をうけおう変った男だった。伝次の手引で土地の鉄火場に行った金八郎はお艶という女の色仕かけのインチキとばくにひっかかって身ぐるみはがれ、伝次の荷物持ちとなって旅を続けた。伝次を親分の仇と狙う赤鬼一家四天王を痛めつけたり、土地の親分藤兵衛の喧嘩の助っ人を五両もらってやってのけたりしながら旅は続いた。次の宿場はお祭だった。お艶を見つけた金八郎は彼女を追って春駒一座の楽屋にとびこみ、それがきっかけで金八郎と伝次は一座の連中と仲よくなった。伝次は早速お鈴という美少女とねんごろになってしまった。お鈴に難題をふっかけるうわばみの仁右衛門のもとにのりこんで、金八郎は伝次に教わった通りのタンカを切って金をせしめた。だがまたお艶と会ったことから化けの皮をはがれてしまった。代官黒崎のまわし者おせんに誘惑されたり、刺客の襲撃をうけたりしながら、なお旅は続く。東海道から美濃路に入り、金八郎は代官黒崎のもとにのりこんだ。一方、伝次は金をもって、芸者に身をおとしている妹お妙のもとに向っていた。伝次がお妙の前に三百両の身代金を投げ出すと、意外にもお妙は、実は自分はおそよという女で、妹をかたって彼をだましていたのだと告白した。代官一味は金八郎におそよをあてがって彼をまるめこもうとした。そんな金八郎を伝次は殴りつけた。最後の手段で代官一味はおせんを使って金八郎を火をつけた武器庫にとじこめた。だが、真の愛情にめざめたおせんと、かけつけた伝次や春駒一座の人々の手で、金八郎は助けられ、悪金山代官黒崎は一同の手でとらえられた。
おさらば伝次
遠山金八郎
投げ刃のお鈴
流れのお艶
おしま
おそよ
むささびおせん
春駒太夫
遠山金四郎
お妙
おかつ
死神の権次
うわばみ仁右衛門
大沼軍蔵
貧乏神の三太
力造
黒崎主膳
歌手
榊原主計頭
もたせの弥三
藤沢の五郎蔵
平塚の藤兵衛
厄病神の弥十
神坂五平太
種村文之丞
治兵衛
春駒一座の役者
おきぬ
おたつ
おげん
多十
上役高山
甚兵衛
伝次(幼時)
お妙(幼時)
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