木村功
尾形徹男
「からっ風野郎」の菊島隆三の脚本を、「キクとイサム」の今井正が監督した、一青年の野望の悲劇を主題にしたドラマ。撮影も「キクとイサム」の中尾駿一郎。
真夏の湖をわがもの顔に滑っていく若い二人--大橋証券社長令嬢の美千代と、社長秘書の尾形である。美千代は尾形を愛していた。彼女は母亡き後の家庭に育てられた世間知らずのお嬢さんで、姉の景子はパリに留学している。尾形は田舎出の青年だが、野心家だった。美千代という野望の鍵をつかんだ彼の心は、ただ恋に酔うという甘いものだけではなかった。突然、大橋社長が妾宅で脳溢血のため倒れた。尾形は社長を自宅に運ばせるなど、機敏に処理した。そのため、彼は社長病気中の間社長邸出向の命令を受けた。が、尾形の慢心が社長の信頼を失った。尾形は社長宅から帰された。焦慮と不満。彼は社長の妾・英子の誘惑を甘んじて受けた。英子は代償として尾形に高血圧の薬を渡した。大橋社長は再度の脳溢血を起し、死んだ。尾形は社長の遺言を発表した。創作の遺言とも思わず人々はそれを信用した。そして三カ月後、尾形は美千代と結婚した。これも遺言の一つなのだ。課長になった。ある日、美千代は医師の手を経て英子から父へ届けられた薬を返された。薬の箱の中には英子の手紙が入っていた。美千代の心に疑惑が宿った。尾形と美千代は激しく口論した。美千代はいつか頭を割られて尾形の足もとに倒れていた。尾形は断崖へ美千代の死体を突き落した。自動車事故--尾形には若妻を失ったという同情が集った。女中のトミの同情は愛情に変わり、彼女は尾形に抱かれた。そんな時、景子がパリから帰って来た。ある日、景子が尾形を美千代の事故現場へ誘った。美千代は手首の傷をかくすため、外出の時は必らず白い手袋をしたという。現場写真にはそれが見られなかった。ただそれだけの疑惑で景子は帰って来たのだ。尾形は敗北した。だが、この女を殺せばいいんだ。景子を追った尾形は、彼女を一撃した。が、そこにはトミが倒れていた。--獄窓で今は死を待つしかない尾形。野望はかくて消えたのである。
尾形徹男
大橋治太郎
大橋景子
大橋美千代
小島トミ
青木英子
大橋徳平
岡林専務
藤永総務部長
お幸
佐竹
市川看護婦
つる
ます子
尾形すぎ
尾形正男
梅津重役
河村重役
石山重役
煙草屋の親父
油井支局長
宮原
宮原たつ
柳月の女みよ子
まつ川の女将
前川医師
唐沢主治医
戸川地方部長
女秘書
松本政務次官
田中
森川
秘書課員
若い芸者とんぼ
横井教養課長
教悔師
看守
警官
プロゴルファー
看守
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