今井健二
岩代健二
高城高の『淋しい草原』を、佐治乾が脚色し、「七つの弾丸」の村山新治が監督したもので北海道の小漁港を舞台にしたサスペンス・ドラマ。「俺から行くぞ」の三村明が撮影した。
岩代健二は北海道に渡ったまま行方不明になった友人尾関を探しにやって来た。尾関は流氷に衝突して沈没した密漁船金漁丸の船長の弟で、その事故に疑問を抱き真相をたしかめようとしていた。岩代は昔ヤクザだった時、仲間のリンチから尾関が救ってくれたことがあった。その恩義と、愛する尾関の妹智子のためにも、岩代は真相をたしかめねばならなかった。尾関が小指をつめているという、唯一の特徴を頼りに、岩代は小島という偽名を使って捜査を開始した。偶然にも、尾関の泊った旅館に岩代も泊りあわせた。尾関が失踪した晩、彼は泥酔していて、一人の男が送って来たことがわかった。また、彼と馴染みのバー・クライネのマダム京子や双生児の艶歌師がその晩に尾関をバーでみていたことも。岩代は艶歌師から、一人の男がバーから連れ出され殴打されて、車で拉致されたことを聞きだした。このころから、土地のボス近藤や子分石川たちの監視の目が岩代の身辺にきびしくなった。ひるまぬ岩代は京子から意外な話を聞きだした。--クライネの共同出資者館林は尾関の兄と密漁の取引をしたが喧嘩別れとなり、船長を軟禁した。他の者が乗りこんだ金漁丸は沈没、船長は生かしておくわけにはいかない……。そこへ智子が兄を心配して北海道にやって来た。岩代が邪魔だと追い返すと彼女はクライネの女給に住みこんだ。岩代は新聞記者高田を通じて館林に探りを入れた。あわてた彼は高田を買収し智子を監禁した。ダイナマイトを持って岩代は館林の事務所に乗りこんだ。が、奸計にかかり智子と共に氷室に閉じこめられた。石川の拳銃が二人を狙った。彼こそ尾関殺しの犯人だった。危機一髪、智子の投げたダイナマイトは事務所を吹っ飛ばした。そのスキに岩代は石川を捕え、館林を追った。館林は石川の、石川は館林の弾丸に倒れ、一味は逮捕され全ては解決した。数日後、東京行の車窓に岩代と智子の明るい表情がみえた。
岩代健二
尾関智子
三原京子
館林慎一郎
近藤
石川
大塚
宮本
木村
有田
高田記者
荒木船長
正子
ミー坊
広子
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