三上真一郎
下条卓也
榛葉英治の新聞連載小説を詩人で戯曲「血は立ったまま眠っている」を書いた新人・寺山修司が脚色し、「恋の片道切符」の篠田正浩が監督した青春映画。撮影は「禁男の砂 真夏の情事」の小杉正雄。
大学自治会の中央委員下条卓也は、女子学生と肉体関係があった。卓也の友達には木原財閥の長男道彦はじめ、同級の今井、品田、それに女子学生桂葉子、枝村美代子、北村節子、篠山貴子らがいた。海岸にある道彦の別荘に集まった彼らは、若さを満喫していた。そんな時、自宅から葉子の父孝作が自殺したと知らせて来た。新聞には孝作が関係している農産公社の汚職が政界に波及し、代議士の大瀬戸に詰腹を切らされたと報じた。卓也はマダムの文枝に紹介され、バー・マドンナで大瀬戸に会った。卓也は文枝とも関係していた。卓也一流の政治理論で大瀬戸を驚かせ、美代子を世話しようといった。大瀬戸は文枝のパトロンだ。貧乏な級友水島は卓也を通して道彦に就職を頼んだ。が、道彦は冷たかった。卓也は葉子に惹かれていた。父の死後葉子は大瀬戸の世話になっていた。姉しづえは許婚者藤森から破談された。それを聞いた卓也は外国人のボクサー鄭方現に藤森を殴らせた。政党に関係していることと、不品行を理由に卓也は自治会を除名された。彼はせせら笑い、節子の体を求めた。木原邸では今日も男女が自堕落な遊びにふけっていた。道彦には興味はなかった。葉子は生活費がしづえの肉体の代償だと知り、家を出て自活する決心をした。が、仕事はみつからない。水島はアパートで首を吊って死んだ。安保反対で世情は日一日と騒然となった。卓也はダイナマイトを手に入れた。学連の永井や馬場に学連デモなんてくだらないといった。節子には子供が出来たという、卓也は彼女と別れた。革命のチャンスだ。ダイナマイトを持って部屋を出た。外には鄭方現の傷害事件がばれて、逮捕に来た刑事が待っていた。パトカーの窓ごしに、デモの大行列がいつまでも、いつまでもつづいた。
下条卓也
桂葉子
木原道彦
園文枝
北村節子
水島成一
大瀬戸五郎
桂しづえ
藤森信一
桂あき
枝村美代子
太田咲子
篠山貴子
今井浩之
品田哲春
鄭方現
永井隆夫
馬場達
吉仲専一
佐久間完
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