長谷川一夫
巽の直次郎
「風来物語 仁侠篇」の続篇で、富田常雄の原作を、「源太郎船」の渡辺邦男が脚色・監督した。撮影も同じく「源太郎船」の渡辺孝。
日露戦争は大勝に終り凱旋した明石中佐は織枝に結婚を申込んだ。房代も直次郎も喜んで賛成した。が、紋太がどういうか織枝は心配だった。紋太は、自分のことからお勢にヒマを出され名古屋に落ちて行ったお桂の後を追ったが、つたなく追いかえされてしまう。やけになった紋太の生活はひどいものだった。遂には野良犬同然の姿で行倒れてしまった。ちょうど節子の家の前で、彼女は親身になって介抱した。お桂のことを半ば諦めかけた紋太に節子が新しい女性として登場した。直次郎は、笹塚組の親分寅三から美弥から手を引けと脅かされる。そのおどかしをはねつけるが今後の油断は出来なかった。明石中佐と結婚した織枝は、車引きの書生川島では房代の幸福は望めないと、房代を諦めるように川島に頼みこんだ。川島は織枝の気持をくんで何かと房代につらく当り彼女を伊達家へ嫁ぐ決心をさせた。房代は伊達家の妻に迎えられ紋太もその縁で内務省に勤めた。その後川島は弁護士試験に合格、白鳥博士法律事務所に勤務した。そして両国の川開きの夜、笹塚組の桟敷を横切ったことから喧嘩になり、その時、別の桟敷に伊達家の人々と来ていた房代はそれを見、呆然とした。その様子を怪しんだ夫の亘は川島との間を疑い強く責めた。嫉妬に狂った亘の虐待に房代は病気になり、実家に帰された。余りの仕打ちに織枝夫婦も房代の離婚を決意した。そんな時、直次郎は明石弁護士殺しの犯人とおぼしき男をいさき屋に追いこんだ。その男は土蔵の中で自決していた。勝五郎の双生児の弟がライを患いやけになってやったことだった。勝五郎は美弥を身請けする金を自分に出させてくれと申し出た。直次郎はその気持を快くうけ美弥を身請けに行ったが彼女は笹塚の屋敷へ連れこまれていた。直次郎が踏み込んだ時、美弥は誤って笹塚に刺された。怒った直次郎は笹塚を殺してしまった。彼の子供を宿す美弥は命を取り止めたが、直次郎は自首して出た。直次郎の弁護は川島が引きうけることになった。川島と房代の結ばれるのもそう遠いことではないだろう。
巽の直次郎
川島道夫
明石紋太
明石隆次
お桂
明石房代
升本律子
丹下節子
美弥
お咲
お糸
明石織枝
お勢
節子の母
花政
笹塚寅三
鳴海又兵衛
いさき屋勝五郎
伊達亘
升本博
伊達伸六
仁助
白鳥博士
弁護士大井
笹塚の秘書西村
子分太田
松尾男爵
お民
内儀
伊達亘の母
花政の子分
子分一
子分庄造
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