加東大介
江藤新吾
土門拳の同名の写真集から「悪い奴ほどよく眠る」の共同執筆者・菊島隆三と、広沢栄が脚本を書き、「遠い一つの道」の内川清一郎が監督したオール・ロケーション映画で、悲惨な筑豊の炭鉱地帯とその子供たちを描くもの。撮影は日映の白井茂ら。
北九州筑豊地帯が擁する失業者は数万。更に十数万の彼らの子供達がいる。炭住街では子供達の方が元気だ。食事の糧であるザリガニ捕りにはしゃぎ廻る。江藤武もその一人。武の父・新吾は他の失業者と同じく、焼酎を飲んではボロ畳に寝ころんで、働けない日々を過す。妻は貧乏にあいそをつかして家を出た。長男の勝は大手筋の鉱山で働いていたが、このことは福祉司には内証だった。一家の生活扶助料が減らされるのである。勝からの送金も間もなく途絶えた。首切り反対のストに加わったのだ。炭住街の子等の何よりの仕事は、修学旅行の金を溜めることだった。入坑禁止の廃坑に入ってボタ拾いもした。ある日突然坑山が再開された。事情は分らぬまま、鉱夫達は喜んで働いた。学校では久しぶりに全員揃った生徒を前に、小林は修学旅行の旅費を発表した。二千七百円と聞いた武たちは一様におしだまった。妻と喧嘩をしてまで、失業者の子の一人をひきとっていることが、小林にはほんの自己満足だけのように思えた。新吾達の働く炭鉱は、炭鉱主の交替とともに、合理化申請の名のもとに再び閉鎖された。武は今迄に溜めた三百円を、父親の焼酎代にと、無表情にさし出した。子供達は突然、黒い羽根の募金で遠足が実現した。しかし自分達の写った宣伝写真を見た彼らは、ばっかにしちょるなあと言って視線を泳がせた。小林の心配をよそに、子供達は学校に出なくなった。一見明るく、楽しく遊んだ。父が家出したという武さも……。それは無気力な、負け犬の忍従の姿だった。大手組合の争議は熱気をおび、勝も手錠をはめられた。武は飢えにパンを盗んだ。出稼ぎに出た鉱夫達は皆この望みのない炭住街に舞い戻った。新吾が戻った時、父の太平は寂しく他界し、武は小林の手で連れ去られていた。武は希望通り、大阪の理髪学校に入学したのだった。
江藤新吾
江藤太平
江藤勝
江藤武
小林順二
小林登志江
筒井ヒサ子
堀池庄助
堀池トク
堀池保
堀池保の弟
安田政次
安田ウタ子
安田一八
服部清造
服部宿市
服部しげ
服部キヨ
服部キヨの妹
組合長倉本
田川児童相談所三宅
炭坑主浅川
浅川の妻たつ子
肩代りした炭坑主田畑
代議士柳原
柳原の秘書島村
石炭事業公団課長片貝
ケースワーカーの男ネズミ
友人上野
宿の女中しづ
桂夫
山田太
谷川先生
食料品店のおかみさん
中根
大阪のバスガール
子供A
子供B
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