京マチ子
高橋お伝
邦枝完二の原作を、「痴人の愛(1960)」の木村恵吾が脚色・監督した高橋お伝の物語。撮影は「傷ついた野獣」の石田博。
上州奥利根に住む高橋お伝の夫浪之助は悪性の皮膚病を患い、養生も思うに任せなかった。夫思いのお伝は庄屋の息子大八に金策を頼んだ。大八は金を持って来たが、お伝の体が目当だった。お伝ともつれあった大八は谷底へ落ちていった。その金を持って東京に出たお伝は、名医後藤昌文を訪れるが不治の病と宣告された。その頃から浪之助の足は激痛を訴えはじめていた。お伝の哀願に代診杉本は一時の痛み止めに麻薬を射った。しかし薬が切れると痛みを訴えるため、再三杉本を訪れるお伝は、薬との引き換えに肉体を投げ出した。が、この麻薬持ち出しがばれて杉本は病院を馘になった。後藤院長は、麻薬では病気が直らないと説き横浜のヘボン医師をお伝に紹介した。横浜に来たお伝は、牛肉屋へ女中に出て浪之助を養った。或る夜、お伝は、平岡市十郎という男と知り合った。彼は野毛山の警官殺しの犯人で馴染の夜鷹お初の深情に追いかけられていたのをかくまったのである。その頃から、お伝は治療代と生活のために夜な夜な客を引き始めた。ある晩、土地の夜鷹達のリンチに合おうとした時、お伝は市十郎に救われた。それが縁となってお伝と市十郎は肉体関係を持つようになった。その逢引から帰るお伝を引きとめたのは、谷底で奇蹟的に助かり車夫に身を替えた大八だった。困ったお伝は色仕掛けで大八をだまし逢引き場所を材木河岸に選んだ。いそいそとやって来た大八は、お伝の隠し持った出刄で刺され河の中に捨てられた。横浜に来て一向によくならぬ病いに浪之助は身も心も衰えていた。そして市十郎との情事に気がついた浪之助はお伝と無理心中を計った。出刄を持ってお伝に追った浪之助は、逆に殺されてしまった。逃げんとするお伝の家の廻りには、すでに大八殺しの下手人として警官が張っていた。そしてちょうどその頃市十郎の家の廻りにも司直の手が伸びていた。
高橋お伝
夫浪之助
平岡市十郎
後藤昌文
杉本喜太郎
大八
お角
お初
お銀
お兼
お蔦
お近
お倉
おたつ
お栄
竹三
藤七
お島
お菊
回天堂金助
珍
おみの
庄吉
おしげ
吾作
お虎
源次
三太
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