河村黎吉
桑原社長
「若い人(1952)」に次ぐ藤本真澄の製作。源氏鶏太の原作から、「霧の夜の兇弾」の松浦健郎が脚色し、「花荻先生と三太」の鈴木英夫が監督に当っている。撮影が「戦国無頼」の飯村正である。出演者の顔ぶれはほとんど前篇と変らず、最近では「東京の恋人」の森繁久彌、沢村貞子、井上大助、藤間紫に、「東京のえくぼ」の小林桂樹、岡村文子のほか、河村黎吉、伊豆肇、進藤英太郎、島秋子などである。
社員のことを心配してやれと前社長に叱られた桑原現社長は、浦島人事課長に命じて模範社員を探すことになり、第一候補として秘書の若原君が出張先から呼び戻された。列車中、鞄を間違えた相手が九州支社から本社詰になった大野君であった。下宿のない大野君は当分独身寮の若原君の部屋に同居することになった。社長から日曜日の留守番をいいつかった浦島課長は重大な要件を思い出して、その役目を若原君にまわした。若原君は青子さんとのランデブウを破棄して憂鬱である。そこで大野君が勇気を出して留守番を代ってやったが、その代り社長邸のウイスキーを一本平げてしまった。その日曜日の海岸で行われた水着美人コンクールでは、桑原社長と、重要な用件を思い出した筈の浦島課長がばったり顔を合わせた。その日自宅へ帰った桑原社長は、大野君の友情を大いに賞賛したが、ウイスキーの件がばれ、大野君は平あやまりにあやまった。社内の恐妻番組のことから浦島課長は、妻などはピシャリとやるに限ると豪語するが、十時になるとあわてて家へ帰った。あとをつけた連中は、浦島さんが玄関へはいると同時にピシャリという音を聞いたが、それは浦島夫人の手が課長の頬にとんだ音であったことには気がつかなかった。おこまさんは藤山海山商事会社の二号であるが、藤山夫人の手前は桑原夫人ということになっている。そのおこまさんの舞踏発表会のポスターを見て、藤山夫人は桑原邸を訪ねるといい出して浦島課長の気をもませるが、当日桑原夫人は大野君と一緒にハイキングにさそわれ事なきを得たが、発表会当日、花束をかかえた藤山夫人と桑原夫人とが舞台の上でかち合わせをして真相がバレてしまった。翌日の新聞に、舞台の上でそれぞれ妻君に胸倉をしめあげられている桑原、藤山両社長の写真が出てしまった。三等重役を馘になる覚悟の桑原社長へ、奈良前社長は、それしきのこと、任期一ぱいがんばれとやさしくはげますのだった。
桑原社長
浦島人事課長
若原君
大野君
藤山さん
奈良前社長
大助クン
桑原千里夫人
藤山京子夫人
おこま
青子さん
女中お惠
浦島夫人
鶯芸者
[c]キネマ旬報社