島崎雪子
齊木時子
「佐渡ケ島悲歌」の新映プロと新東宝の提携によって作られ演技者として映画生活三十年の斎藤達雄が監督としての第一回作品、脚本は斎藤達雄自身が書き、「こんな私じゃなかったに」の池田忠雄が潤色をしている。撮影は「モンテンルパの夜は更けて」の小原譲治。出演者は「人生劇場 第一部」の島崎雪子、「モンテンルパの夜は更けて」の山内明と「カルメン純情す」の坂本武と斎藤達雄自身。その他「原爆の子」の細川ちか子や「丘は花ざかり(1952)」の清水将夫などである。
齊木長太郎は渋沢商事の老社員で、家庭には病床の妻きぬ子と一人娘時子があった。時子は当年二十三歳、長太郎はまだ子供だと思っていたが、同僚の長谷川信夫という青年が恋人であった。折りを見て両親に打ち明けるつもりだった。ところが突然長太郎が馘首された。戦後派の若い社長は長太郎の古風な律儀さが気に入らぬという理由である。時子と彼はこれを病気のきぬ子に内緒にして翌日から職を求めて街を歩きまわった。長谷川が広島に転勤にきまり、これを機会に時子との結婚を望んだが、時子は父母を見すてて行くことが出来なかった。長太郎はそれを見て時子にはある工場の夜警の職があったといって、渋っていた鳩の街の湯たんぽ売りをはじめた。ある夜はからずもこの姿を長谷川に見られ、それを知った時子は、長谷川との結婚をきっぱりことわった。しかし長太郎の元の会社と取引していた会社の福井社長は、長太郎の正直な一言で欺偽にひっかかるのを救われたことを恩義に感じ、彼を自分の社へ迎えたいといって来た。春立ちかえる齊木家から時子は長谷川と結ばれ広島へ旅立った。
齊木時子
父長太郎
母きぬ子
長谷川信夫
大原捨吉
妻お蝶
娘おはる
坂口課長
渋谷社長
福井社長
女給ハナ
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