キャロル・ベイカー
Teresa
カール・フォルメーラーの戯曲をマックス・ラインハルトが演出した舞台は当時世界的にヒットした。今回の映画化は「荒野の貴婦人」のフランク・バトラーが脚本を書き、「初恋(1958)」のアーヴィング・ラパーが監督した。撮影は「真昼の欲情」のアーネスト・ホーラー、音楽をレイ・ハインドーフとエルマー・バーンスタインが担当。出演は「大いなる西部」のキャロル・ベイカー、「テンペスト」のヴィットリオ・ガスマン、ロジャー・ムーア、ウォルター・スレザク、カティナ・パクシヌー、カルロス・リバスなど。製作ヘンリー・ブランク。
1812年夏、スペインのミラフローレス村の修道院で処女神・聖母マドンナに仕える美貌の見習尼テレサ(キャロル・ベイカー)は自らの信仰の動揺に悩み続けていた。ナポレオン軍に破れた英国竜騎兵の一隊が尼僧院に駆け込んできた。重傷の隊長マイケル(ロジャー・ムーア)を看護するテレサに激しい恋心が芽生えた。病いえて去ったマイケルをテレサは遂に追った。が、マイケルとは会えずジプシーの群れと暮らす破目となり、女団長ラ・ロカの2人の息子、ギド(ヴィットリオ・ガスマン)とカーリトスはテレサを争った。ある日、ギドが戦死した軍人から奪った品物の中にマイケルの時計を見つけたテレサは絶望してギドの求婚を受け入れた。が、祝言の席でギドは乱入したフランス兵に射殺された。それは嫉妬に狂ったカーリトスの陰謀であり、これを知ったラ・ロカは怒ってカーリトスを殺した。テレサは楽士フラコとそこを逃げ出しマドリッドへ行った。ここで彼女は闘牛師コルドバ(グスタフォ・ローホ)と愛し合うようになったが、コルドバは牛に刺されて死んだ。すべてに絶望したテレサは富豪カシミールの求婚も退けフラコとともに欧州を転々とした。ブラッセルに来た。そこに彼女は意外にも健在なマイケルを見つけた。マイケルは早速求婚した。が、「私を愛する人は皆死んでしまいました」……テレサは彼を愛するが故に断った。その夜の舞踏会でマイケルは、ミラフローレスの修道院を再び訪れたときの不思議なことを話した。――テレサが出奔した日から聖母の像が礼拝堂から消え、村は貧困と悲しみに満たされている――。テレサは驚くとともに神に罪の深さを詫びた。マイケルはワーテルローの会戦に出陣し奇跡的に助かったが、その彼を待たずテレサはミラフローレスに行った。処女神の消えた台座の前にひれ伏す彼女の背の上で姿の見えぬ尼僧の手が十字を切った。やがてテレサは顔を上げた。台座には処女神が立っていた。雨季が来た。戦争終結の鐘が高らかに鳴り響く。
Teresa
Michael
Guide
Flaco
La_Roca
Carlitos
Cordova
Casimir
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