東山千栄子
校母大友梅野
「日本の悲劇」の木下恵介が脚色監督に当る作品で、製作は「東京物語」の山本武。“群像”に掲載された阿部知二の小説『人工庭園』が原作である。撮影は「日本の悲劇」の楠田浩之、音楽は「慶安水滸伝」の木下忠司の担当。主演者は「今宵誓いぬ」の高峰三枝子と「第二の接吻」の高峰秀子が初顔合せするほか、「にごりえ」の久我美子、「家族会議」の岸恵子が共演し、以下「陽のあたる家(1954)」の田浦正巳、阪東妻三郎の遺児田村高広(映画第一回出演)、「伊津子とその母」の金子信雄、「東京物語」の東山千栄子、「君の名は」の望月優子、浪花千栄子、井川邦子、三木隆、新人末永功などが出演し、ほかに俳優座劇団員が大挙出演する。
京都郊外にある正倫女子大学は、校母大友女史の奉ずるいわゆる良妻賢母型女子育成を教育の理想とし、徹底した束縛主義で学生たちに臨んでいた。七つの寮に起居する学生たちは、補導監平戸喜平、寮母五条真弓などのきびしい干渉をうけていた。姫路の瀬戸物屋の娘である新入生の出石芳江は、三年程銀行勤めをしたのちに入学したせいか、消燈時間の禁を破ってまで勉強しなければほかの学生たちについて行くことが出来ず、その上、同郷の青年で東京の大学に学ぶ恋人下田参吉との自由な文通も許されぬ寮生活に苦痛を感じていた。芳江と同室の新入生で敦賀から来ている滝岡富子はテニスの選手だったが、テニス友達の大学生相良との交際が学校の忌にふれて冬休み前停学処分をうけてしまった。赤い思想を持つと噂される奈良出身の上級生林野明子は、学校の有力な後援者の子女であるために、学校当局も特別扱いにしていた。冬休中、芳江は厳格な父の眼をくぐって参吉とほんの束の間逢うことができた。が、休みが明け、富子の休み中の行動を五条たちが糾弾したことから、明子を先頭に学生たちの自由を求める声は爆発した。かねて亡妻の面影を芳江に見出して、彼女に関心を抱いていた平戸は、学校側が騒ぎを起した学生たちを罰したとき、芳江だけに特に軽い処置をした。そしてこの罰の不均等は学生たちの団結を崩そうとする学校側の手だったのだった。芳江は学校側の巧妙な切崩工作の対象となって学生たちの反感を買わねばならなくなった。このショックに神経衰弱気味になった芳江は、寮をとび出して一時は東京の下田の許に身を寄せたが、同僚への責任感に悩んで再び学校に戻り、人気ない夜の教室で自殺した。この事件は校内に激しい波乱を呼び、学校側も学生側も互にそれぞれの立場で激した感情を相手にぶちまけて混乱は一層烈しくなって行った。
校母大友梅野
学長
五條真弓
平戸喜平
出石芳江
林野明子
滝岡富子
下田参吉
参吉の母
弟
妹
五味
大学生相良
大学生野崎
大学生吉田
鶴賀の小母さん
下宿の小母さん
主人杉岡
芳江の父
芳江の姉
芳江の姉の婿正雄
料理の先生
女子大学生服部
女子大学生北島
女子大学生田辺
女子大学生佐々木
女子大学生内海
女子大学生井上
女子大学生清水
女子大学生松原
女子大学生荒井